河野太郎防衛相(57)は2020年3月26日、参議院外交防衛委員会で、新型コロナウイルスに関して用いられるカタカナ語をめぐり、分かりやすい日本語を使うよう防衛省から厚生労働省に申し入れたと明かした。立憲民主党の白眞勲(はく・しんくん)参院議員(61)の質問に答弁した。
河野氏は22日、ツイッターで「クラスター」「オーバーシュート」などの用語をあげ、それぞれに対応する日本語を併記しながら「なんでカタカナ?」と疑問を呈していたが、実際に変更を求めて動いた格好だ。
「政府の発信でございますから、万人が分かりやすい言葉で」
白氏は河野氏のツイッター投稿に触れ、「クラスター、オーバーシュート、ロックダウンのようなカタカナ語を日本語で表記した方がいいと指摘していますね。防衛大臣、何かコメントがあれば」と質問。河野氏は「かつて行革担当大臣を拝命しておりました時に、IT関係の政府の会議に出席しましたところ、やたらとカタカナがたくさん使われていて、そこに出席している担当省庁の人間も(用語の意味を)分かっていなかったということがありました」とかつての経験を踏まえ、次のように答弁した。
「今回のコロナに関連して専門家の先生方が色々とおっしゃるのですけど、私の周りにも『何を言ってるか分からない』という声がありましたので、防衛省のほうから厚労省に対して『分かりやすい日本語を使ってください』という申し入れをしているところでございます。政府の発信でございますから、万人が分かりやすい言葉でやるべきだろうと思っております」
河野氏はツイッターで22日、「クラスター 集団感染 オーバーシュート 感染爆発 ロックダウン 都市封鎖 ではダメなのか。なんでカタカナ?」と聞き慣れないカタカナ用語の使用を疑問視。27日時点で6万8000回以上リツイートされ、24万回以上の「いいね」を集めた。ツイッター上では、
「初めて聞く人の方が大半なはずなのにニュースとかだと知ってて当然みたいな使い方されててほんと戸惑うよ~」
「個人的には、訳語の定まってない英語の漢字化は、定義が曖昧になるため、避けたほうがよいと思います」
などとさまざまな意見が飛び交った。
行革担当相時代に「IT分野の文書における『カタカナ語』の見直し」
こうしたカタカナ用語は、政府の専門家会議が19日に公表した分析・提言の文書にも登場するほか、政府対策本部、小池百合子東京都知事も使用するなどし、見かける機会が増えている。カタカナとあわせて日本語での意味を併記する場合が多い。
答弁にもあるように、河野氏は15~16年に行政改革担当大臣を務めた際も、頻繁に用いられるカタカナ用語の是正に取り組んだ。退任に際して更新した16年8月6日のブログでは、後任の大臣に託した「引継書」を公開。その項目の1つに「IT分野の文書における『カタカナ語』の見直し」をあげている。
なお河野氏自身は英語でスピーチをこなしたり、外相時代も通訳なしで海外の外相らと英語で会談したりするなど、英語が堪能なことで知られる。