マスク「値上がり」を叩く前に 苦闘する卸業者、原料費「何十倍」も薄利で輸入...世界中で「奪い合い」が

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マスク販売の小売店は「非常に勇気のある行動」

   冒頭の貿易商社勤務の男性(30)も、取材に卸業界の事情をこう明かす。

「中国のマスク工場から見積もり提示が届きますが、とても高いです。工場担当者の話では、欧米がオークション形式のように発注をしており、マスクの価格が高騰しているようです。世界中でマスクの奪い合いが起きています」

   実際に中国工場から男性に送られてきた見積書のメールを見せてもらった。1パック50枚入りのマスクで、提示価格は平時の約30倍に値上がりしているという。メールには新型コロナウイルスが世界中に拡大した影響で、マスクの需要が各国で高まっていると説明されている。「消費者の方に供給出来る様に、高い値段でもリスクを抱えて発注出すか、検討をしました」と明かす男性。しかし、最終的にこの見積もりには応じられず、発注は断念した。

   02~03年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際も、国内のマスク需要が高まり、同社を含む各社が発注を増やした。だが流行の収束に伴い、各社大量の在庫を抱えたという。

   男性は「今回もその様なリスクがある中、在庫を抱えて市場に供給をしようとした方々が、知らない消費者に批判をされてしまうのはかわいそうでなりません」とし、高額でもマスク不足に応えようとする小売店を支持する。

「消費者の方から『高い』という意見が出て企業イメージにも悪影響となってしまう可能性が想定されるなか、マスク不足に対応するため自社でリスクを負い、販売に踏み切ったのは非常に勇気のある行動であったと思います。

今までマスクをつける文化のなかった国も含めて、世界中でマスクの奪い合いが起きておりますので、当然高騰します。原料の高騰についても間違っておりません」
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