「買い占め映像」に批判相次ぐ 「マスコミが煽るから買いだめが酷くなる」との指摘も

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   小池百合子東京都知事の会見後に都内のスーパーで食料品などの買い占めが起きている、とテレビ各局がその映像や画像を流したことに、ネット上で疑問や批判が相次いでいる。

   消費者の不安を煽ることになるのではないか、という理由からだ。各局は、冷静な買い物をするべきことも伝えてはいるが、それでもバッシングが収まらないようだ。

  • もし空の陳列棚が映っていたら…(写真はイメージ)
    もし空の陳列棚が映っていたら…(写真はイメージ)
  • もし空の陳列棚が映っていたら…(写真はイメージ)

「テレビで報道するのはやめたほうがいい」

「買いだめ行列とかの報道は控えてください」「不安を煽ってパニックを起こしたいの?」「落ち着いて行動できるように報道して」......。

   小池知事が2020年3月25日夜に会見して、週末の外出自粛などを都民に要請すると、直後からスーパーで買い占めが起こったとして、テレビ各局が翌26日にかけて、その映像を繰り返し流した。すると、ツイッター上などでは、マスコミに対して、前出のような非難の声が次々に寄せられるようになった。

   各局では、買い占め状況の画像や映像の提供をツイッターで求めている。25日夜は、食料品の陳列棚が空のような状態になった画像を複数アップした投稿者に対し、TBS「あさチャン!」のスタッフやテレビ朝日「グッド!モーニング」の報道局がそれぞれ、話を聞きたいと投稿者に向けてツイートしていた。

   このことについて、「テレビで報道するのはやめたほうがいい」「マスコミが煽るから買いだめが酷くなる」といった疑問が寄せられ、このやり取りがツイッターでさらにまとめられた。このツイートは、6000件以上もリツイートされるほど拡散している。

   TBS、テレ朝とも、翌26日の放送で、視聴者提供の映像などを使って、空になった陳列棚やレジ前にできた行列などの様子を番組で何度か紹介した。

   ただ、2局とも、ネット上の批判などを考慮してか、放送時間は比較的短く、最後に消費者への注意喚起も行っていた。

猪瀬・元都知事も厳しい注文

   「あさチャン!」では、「冷静な対応が求められています」とアナウンスし、買い占めに対して「もうちょっと考えてほしい」とする街の人の声を紹介した。また、「グッド!モーニング」では、「需要が増えても、すぐに商品の入荷を強化して補充するため、買いだめする必要はなく、あくまでも冷静に買い物してほしい」とする大手スーパーの話で締め括っていた。

   しかし、こうした注意喚起をしたところで、映像などを流せば結果として煽ってしまうとの異論も絶えない。

   ネット上の騒ぎを受け、著名人からも、テレビなどの報道のあり方について、様々な意見が出ている。

   元東京都知事の猪瀬直樹さんは、「テレビは買いだめを煽るような表現をするな!デマ・風評を抑えるのが公共の電波の役割だ」とツイッターで厳しい注文を付けた。

   ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは、「スーパーなどで買い占めが起きたとしても、マスメディアは報道すべきではないし、SNSでも拡散するべきではない」「増幅効果が起きてしまう」とツイッターで述べた。その理由として、「多くの人はデマに惑わされてるのではなく、『デマが出回ってるから、念のため買っておこう』と判断していることが多い」「そこでいくら『買い占めは控えましょう』と言っても逆効果になるばかりです」と説明している。

   一方、元新潟県知事の米山隆一さんは、佐々木さんの意見を引用して、「そんなことしたら、情報を知っている人だけが買い占めたり、口コミで却ってパニック買いが殺到したりしてよりひどい結果になります」と反論した。そして、「マスコミの情報伝達は時に望ましくない結果をもたらしますが、多くの場合それが無いよりはずっとましな事が殆どです」としている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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