急転直下、遅くとも2021年夏までの延期が決定した東京五輪だが、日程の調整には多大なプロセスがかかることが予想され、影響はスポーツ界にとどまらない。とりわけ、大規模イベント会場として使われてきた東京ビッグサイトはどうなるのか注目されている。
東京五輪を延期させた新型コロナウイルスの影響で、予定されていたイベントも大半が延期・中止を決定、また今後のイベントも先行きは不透明だ。その中には年に2回の同人誌即売会・コミックマーケットも含まれている。
五輪延期でさらに不透明に
東京ビッグサイトは当初の予定では19年8月から20年11月まで東展示棟を国際放送センター(IBC)として使用するために工事期間も含めて借用、20年5月から9月まで西展示棟と南展示棟を借用し、「本番」の7月から8月までは青海地区の青海展示棟も使用して全館を五輪用に占用する計画だった。全館が使用可能となるのは20年12月からとなっていた。
もともと展示場不足に対応すべく南展示棟と青海展示棟をそれぞれ19年7月と4月に開業させていたが、青海展示棟は仮設で20年12月には閉鎖予定だった。つまり、本来は今年20年末には元に戻るはずだった。
コミックマーケットでは毎回ビッグサイトの全館を使用していたが、東展示棟閉鎖でスペースが不足するために19年夏のコミックマーケット96(C96)より史上初の4日間開催となり、20年5月2日から5日に開催予定のC98もその計画だった。
もっともC98自体、新型コロナウイルスが収束しないため予定通りの開催には五輪同様に黄信号がともっている。
東京での感染者が増え続けている情勢で、会場に1日数十万人の来場者があり近距離で会話を交わす同人イベント特有の条件が、このウイルスの感染拡大要件にほとんど合致してしまう、という心配が参加者の間で高まっているためだ。既に「サンシャインクリエイション」「コミックシティ」「博麗神社例大祭」といった大規模な同人誌即売会の中止や延期が決まっており、C98への影響も避けられない情勢となっている。
コミックマーケット準備会は3月15日、次のような見解を公表。見解では、C98について、開催に向けた準備は進めているが、政府による大規模イベント自粛要請などを受け、「中止または延期を含め、通常と同様に開催できないという判断をせざるを得ない可能性があります」としている。
コロナウイルスと五輪延期がビッグサイトに与える影響は計り知れない。20年9月以降も既に複数のイベントの予約が決まっているとも報じられている。
また五輪終了後に解体予定だった青海展示棟も、延期に伴って継続使用となるのだろうか。3月25日に東京ビッグサイトの広報担当者に取材を行ったが今後のスケジュールは全くの未定で、東京大会組織委からも何も連絡は来ていないとのことだった。
気をもむ関係者ら
今後のビッグサイトについては、「当初の借用期間を越えて五輪開催まで全館使用」「東展示場以外を一時的に開放」などの方策が考えられるが、全く不透明な状況であるし、そもそも延期が決まった五輪でもビッグサイトをメディアセンターとして使用するかも決まっていないと東京ビッグサイトは取材に答えている。また暫定的な施設として建設した青海展示棟も、解体せずに引き続き残してほしいという意見もあった。
先行きが不透明ななか、展示会関係者やネットユーザー、同人誌を印刷する印刷業界などが気をもんでいる。