「マスク返して」豊川市要望に中国友好都市が対応へ 「恩を10倍返し」と中国大使館

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   新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響でマスク不足が続く中、中国の江蘇省無錫(むしゃく)市新呉区が、友好都市提携している愛知県豊川市からの要望を受け、マスク5万枚を豊川市に順次送付することを決めた。中国駐日大使館が2020年3月24日、ツイッターで伝えた。

   豊川市は先に無錫市新呉区へマスク4500枚を送っていたが、その後愛知県内でも感染が拡大。3月に入り、在庫があればマスクを返してくれないかと新呉区に要望していた。中国駐日大使館は取材に「こちらが深刻な感染に見舞われていた時に頂いた恩を、倍返し、10倍返しでお返ししたいということです」と話している。

  • マスクの支援を表明(写真はイメージです)
    マスクの支援を表明(写真はイメージです)
  • マスクの支援を表明(写真はイメージです)

市長「もし在庫があれば返してくれないかと交渉している」

   中国駐日大使館ツイッターは24日夜、「愛知県豊川市のマスクが不足していることをニュースで知った中国側友好都市の江蘇省無錫市新呉区は至急マスク五万枚を調達し、今日から順次郵送します。これこそ中日友好の底力です」と表明。実際に伝票を作成する職員や、支援物資入りのダンボール箱の写真を投稿した。

   豊川市は2月4日、09年から友好都市提携する無錫市新呉区に対し、マスク4500枚や防護服を送って感染対策を支援した。だがその後、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大。豊川市内でも3月22日に感染者が出て、同市はマスク不足に直面した。24~25日の複数の報道によると、市の備蓄マスクは5月には底をつく見通し。

   こうした状況の中、竹本幸夫・豊川市長は24日の定例会見で、新呉区にマスク送付を要望していることを明かし、「もし在庫があれば返してくれないかと交渉している」と説明した。友好都市として困っていたら助けようという思いから2月に支援したが、「見込みが甘かったと反省した」とも述べている。

   すると冒頭のとおり、新呉区側がこの要望に対応した。中国駐日大使館の広報部は25日、J-CASTニュースの取材に、「新呉区は、中国で感染拡大が深刻だった時期に、豊川市から4500枚のマスクを頂きました。その豊川市でマスクの備蓄が足りなくなるというニュースを新呉区の方々が見て、こういう時こそ友好都市として助け合いたいという思いから、すぐに行動しました」と明かす。すでに豊川市にも直接連絡をしたという。

   同大使館としても「中国のCOVID-19拡大に対して、日本側が各方面から支援していただいていることは、中国の報道官らも感謝の意を伝えて続けています。世界の感染状況が変わり、日本でもマスク不足が起きている中で、中国もさまざまな形で支援をしたいと考えております」としている。

「停止していたマスク生産工場も稼働を再開しはじめている」

   豊川市が先に送ったマスクは4500枚だったが、今回新呉区が表明しているマスクの支援は5万枚という数。前出の広報は「地元の方々の気持ちの表れで、自分たちが深刻な感染に見舞われていた時に頂いた恩を、倍返し、10倍返しでお返ししたいということです」と説明した。

   豊川市ウェブサイトによると、新呉区の人口は約70万人で、豊川市の約3.8倍。逆に新呉区でマスク不足が起きないかとも懸念されるが、広報は「中国では感染状況が落ち着いてきています。今まで停止していたマスク生産工場も稼働を再開しはじめており、マスクなどの物資はこれまでより供給できるようになってきています」と話している。

   豊川市の企画部秘書課の担当者は25日昼の取材に対し、「新呉区からの支援については、担当同士で調整しているところです。マスクが現に発送されたかどうかは確認中です」とし、マスクが調達できた場合「高齢者施設や医療機関中心に配分していきたい」と話す。

   また、新呉区との支援については「3月中旬に新呉区から、『中国は感染状況が落ち着いてきたので、いま大変な日本に何か支援できることがあれば言ってほしい』という旨の連絡がありました。それで昨日の市長会見となりました」とやり取りを続けていたことも説明した。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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