延期議論の中で揺れる「聖火ランナー」 なでしこ2人辞退で、正式決定を前にもはや...

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   東京五輪の聖火リレーで国内第1走者となるサッカー日本代表「なでしこジャパン」の女子ワールドカップ(W杯)優勝チームのうち、FW川澄奈穂美、FW永里優季の2人が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、聖火ランナー辞退を表明した。

   すでに「延期」がほぼ既定路線となり、聖火リレーの実施形態も検討が続く中、ランナー自らが降板を発表する事態となった。

  • 川澄奈穂美のブログより
    川澄奈穂美のブログより
  • 川澄奈穂美のブログより

「1週間くらい前にもうやばいなと思って辞退を申し出ていた」

   米国シカゴ・レッドスターズに所属する永里は24日、ツイッターで「様々なことを考慮し、聖火ランナーへの参加は辞退させて頂きました」と表明した。「世界中で起きている恐ろしく悲しいことが1日も早く終わることを願っています」と新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、「1週間くらい前にもうやばいなと思って辞退を申し出ていたのですが、この1週間でさらに状況が悪化。とにかく世界が同じ方向を向いて、この困難を乗り越えないといけないと。踏ん張りましょう」と呼びかけた。

   23日には、米国スカイ・ブルーFCの川澄が「新型コロナウイルスの影響で、今回の聖火リレー走者を辞退いたします」と表明。「米国在住の為移動時にリスクが高いこと、自分が感染しない・感染源にならないこと、チームやファンの方々に迷惑をかけないことなどを考慮し決断しました。一日も早い終息と皆様の健康を心から願っています」と理由をつづった。

   川澄は同日、ブログでも詳細をつづっている。「ここ1~2日で日米間での渡航制限措置がとられることが決まりました 実はこの渡航制限措置が決定する前に辞退を決めていました 渡航制限が出たものの、聖火リレーに参加する可能性はゼロではないんです(なかったんです)」としており、さらになでしこジャパンのメンバーと聖火ランナーをつとめることを「本当に本当に本当に楽しみにしていました!」という。

   だが、「私はプロサッカー選手としてチームやリーグに所属しているわけで、万が一感染した場合どれだけの人たちに迷惑をかけることになるのかは容易に想像できます」と身近な人々への影響を懸念した結果、「これだけ急速に拡がり、死者もでて、治療薬もない今、リスクを冒してまで聖火リレーに参加すべきではないという判断をしました」という。

組織委「26日に福島をスタートするという計画には変更がありません」

   IOC(国際オリンピック委員会)は22日、東京五輪について延期を含めて検討すると発表。予定どおりの7月開催が揺らぎ、3月26日にJヴィレッジ(福島県)からのスタートが迫った聖火リレーについても、中止・延期論が熱を帯びる。

   五輪組織委員会は23日に会見し、森喜朗会長は聖火リレー実施について、トーマス・バッハIOC会長から「お任せします」と一任されたことを説明。武藤敏郎事務総長は「26日に福島をスタートするという計画には変更がありません」と強調し、IOCの発表を受けて「実施形態をどうするか検討したい。中止は全く考えていません」と方針を述べた。

   その「実施形態」をめぐってはさまざまな報道がある。感染拡大防止のため、無観客での開催に加え、そもそもなでしこジャパンの参加を見送る案を検討していると報じられたほか、トーチを持って走るリレーを取り止め、ランタンにつけた聖火を車で運ぶ形も浮上した。

   いずれも正式決定されたものではないとはいえ、聖火リレーのスタートを切るなでしこジャパン、その中心メンバー2人が辞退。インターネット上では聖火リレーのムードが減退しており、ツイッターでは、

「聖火リレー辞退が一流アスリートの間で広がっていくのだろうな・・・」
「まだ全体の方針が確定してないだろうに。他のランナーに変な同調圧力かからない事を願う」
「聖火ランナー辞退を表明するアスリートが増えてきた」

など、辞退の連鎖が起きるのではないかとする声もあがっている。また、聖火ランナー本人が辞退を表明したことについて「本来ならアスリートや参加者を守るために中止の判断をするはずの組織が全く機能していない」と不安視する声もある。

   五輪2大会のマラソンメダリストで現在IOC「スポーツと活動的社会委員会」委員の有森裕子氏は23日夕、ツイッターで、

「オリパラの延期が、多くの可能性をほぼ検討され決まるのに、人がどう考えても集まるであろう聖火リレーを予定通り開催する事に疑問に思う」
「オリパラの聖火は運べば良いものではなく、多くの関わる人達に希望や夢を感じ歓迎されるなかで運ばれて灯されるものではないのだろうか?」

と懸念をつづっている。

   TBSが24日夕に報じたところでは、組織委は同日21時ごろにもう一度会見を開く。その直前には安倍晋三首相とバッハ氏の電話会談が行われる。NHKは20時ごろ、安倍首相がバッハ氏に「1年程度」の延期を提案する方針、と伝えた。

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