新型コロナウイルスの感染拡大で、葬式をめぐって真偽不明の情報がネットで出回り、関係者らが困惑している。
「立ち合いは親族5人まで」「火葬炉前の読経や花入れは禁止」...
注目集めた「肺炎患者」遺体めぐる情報
感染者の遺体への対応について、ツイッターでは2020年3月中ごろ、葬儀業界の関係者だとして、東京都内の火葬場からこんな内容の通達が業者に出ていると投稿があった。
新型コロナウイルスは、危険性が比較的高い感染症の2類相当とされ、通常は墓埋法第3条で禁止されている死亡後24時間以内の火葬を行うこともできる。また、厚労省は、感染者の遺体について、非透過性の納体袋に密封し、その表面を消毒することを求めている。
通達では、24時間以内の火葬ができることや、遺体は医療機関で納棺することを挙げるとともに、前出のような対応も取ることを記した。さらに、感染者の火葬は、その日の最後となる夕方に行うこと、立ち会う親族の移動制限があることなども挙げている。
さらに、事実関係は分からないものの、この投稿では、新型コロナウイルスの未検査が多いとして、一部の症状を除く肺炎患者についても、感染者の遺体と同様の扱いをしていると明かし、物議を醸している。
肺炎患者の遺体の24時間以内火葬について、都の環境保健衛生課は16日、感染者でなければ違法だとJ-CASTニュースの取材に答えた。感染者並みの扱いについては、「業者が過剰に反応しているのかもしれませんが、聞いたこともなくてびっくりしています」と話した。
東京都葬祭業協同組合「同様の扱いは聞いたことがない」
肺炎患者の遺体を感染者並みに扱うことについて、東京都葬祭業協同組合も、「そのような扱いをした葬儀会社は、把握もしていませんし、聞いたことがないです」と取材に答えた。
そこで、前出のツイッター投稿者に取材を申し込んだが、3月24日までに返答はなかった。
ツイッターで情報発信している佐藤葬祭の佐藤信顕社長は、取材にこう話した。
「同様な扱いにするかは、僕らが判断できることではありません。そもそも24時間以内の火葬はできませんし、感染を怖がって同様にやるのもおかしいと思います。新型コロナウイルスを特別視していることはなく、すべてのご遺体には何らかの感染症を持っている可能性も考えて接しています」
火葬が増えている、遺体から感染が広がっているといったうわさも流れているというが、佐藤社長は、こう言う。
「震災のときも、どんどん火葬が増えているといった放射能デマが流れていました。業者は、普段から気を付けてやっていますので、遺体から感染が広がるということもありません。扱うのが大変だというぐらいで、きちんと対応すれば、まったく問題ないと思っています」
なお、火葬場の通達そのものについては、民間の火葬場から出されたとみられるといい、都内では、民間火葬場の多くが似たような感染者遺体の扱いをしているという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)