東京都は2020年3月23日、首都大学東京(4月に「東京都立大学」に名称変更)に対し、入学生の都内への転入自粛を求めたと発表した。
入学を控え、引っ越しを予定していた地方の学生には「大学側から何のアナウンスもなく混乱しています」「引越しはキャンセルがききそうにない」と混乱が広がっている。
都市封鎖防ぐためにも...
小池百合子東京都知事は23日、新型コロナウイルス対策に関する記者会見で、感染の爆発的な増加(オーバーシュート)を防ぐため、イベント自粛などの協力を呼びかけた。
特に「感染しても症状が出ない若い方々が無自覚のうちにウイルスを拡散させてしまう懸念がある」とし、都市の封鎖(ロックダウン)を避けるためにも若年層の協力が不可欠だと訴えた。
この日の都の染症対策本部会議では、首都大(本部:東京都八王子市)へ自粛要請を行ったことも明かされた。同大は、時の石原慎太郎都知事の主導で、2005年に旧東京都立大学など4校を統合、新設された。
要請内容は(1)ゴールデンウィーク終了まで休講(2)キャンパスへの立ち入り禁止(3)サークル活動の自粛要請(4)留学生・地方からの入学生の東京への転入自粛要請――の4項目で、都の総務局長は「4つの項目について、実施のための学内手続きに入ったところでございます。感染拡大の観点から、事業者の方々におきましても、都の取り組みを参考に対応を行っていただきたい」と説明する。
大学の見解は?
要請を受け、首都大の学生には混乱が広がっている。中でも「留学生・地方からの入学生の東京への転入自粛要請」は、上京組にとって"死活問題"だ。
大阪市在住で、4月6日に上京予定だった女性は「大学側から何のアナウンスもなく、ツイッターで先ほど知ったので混乱しています」と戸惑う。引っ越しは予定通りするものの、授業が始まるまでは地元に残るという。
石川県在住の男性は、3月31日に上京するはずだったが、「引越しはキャンセルがききそうにないので取りやめることができそうになく、1か月東京に1人でいなければならないかもしれないのでとても不安です」と漏らす。一般入試の後期日程で合格し、物件探しが遅れため、「焦りながら即決せざるを得ない状況でしたので、早めに発表してくれたらよかったなと本当に思っています」。北海道在住の男性(28日引っ越し予定)も「私のような地方在住者が混乱することになるので、もう少しだけ発表が早ければ良かったなと思います」と口をそろえる。
別の北海道在住の男性は、3月31日に大学の寮に入る予定だった。入寮期間が決まっているため、それに合わせて運送業者に手配していたという。大学から正式に転入自粛の要請があれば従うつもりだとするも、引っ越しのキャンセル料が発生した場合、負担するのは「納得できません」と話す。
大学側はどう受け止めるか。企画広報課は23日、J-CASTニュースの取材に、「都から要請は受けましたが、大学としては対応を検討中」と答えるにとどめた。