完結直後に多角的なメディアミックスが発表され、インターネット上で「電通案件」などと言われているツイッター漫画「100日後に死ぬワニ」(きくちゆうきさん作)について、お笑いタレントの有吉弘行さんがラジオで「クレームすごいんだろうな」と言及した。
有吉さんは2020年3月22日、JFN系「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」に出演。漫画連載中からツイッターで感想をつづっており、完結直後にも労うようなメッセージを発していた。
「騙されるの嫌なんだな」
19年12月に開始し、1日1枚の4コマ漫画で連載された「100日後に死ぬワニ」は、3月20日で100日目を迎え完結した。最終回は13コマの長さ。ワニの最期や人生の過ごし方をめぐっては、直後からさまざまな解釈、考察がなされ、「何気ない日常の輝き ワニくんありがとう」といった感想が大量に寄せられた。
ネットの空気が変わったのはその数時間後。漫画はきくちさんのツイッターで細々と投稿されてきたが、これと別に「100日後に死ぬワニ 公式」アカウントが開設され、書籍化、映画化、グッズ発売、イベント開催などの展開が一気に発表された。「いきものがかり」とのコラボ曲「生きる」も同じタイミングでYouTubeに公開。こうした発表の中にクレジットされたスタッフや企業の取引先から、広告代理店大手・電通が関わっていたとの憶測が流れ、「電通案件」がツイッタートレンド入りした。
こうした中、有吉さんはラジオで「『100日後に死ぬワニ』が作者の手から離れて、大きな話題になって、クレームすごいんだろうな。なんでか知らないけど」と言及。「騙されるの嫌なんだな。騙したわけではないけどな」と述べると、「嫌なんだな、あれな。『え、思ってたのと違う!』となったらウーン!(怒る様子)って」とネット上で怒りをぶつける人々の感情を推察した。
この直前には、番組に出演したお笑いコンビ「アルコ&ピース」酒井健太さんが最近スベったネタについてトーク。有吉さんはこれに絡め、「申し訳ないけど、酒井はその言葉(ネタ)を作った人ではあるけど、あとの運用に関しては我々電通に任せてほしい」と皮肉っぽくいじり、酒井さんは「ウーン!」と反応してオチをつけた。
有吉さんは連載中の2月22日、ツイッターに「100日後に死ぬワニ。あと27日。桜の咲く頃かしらね。。。」と投稿するなど、1人のファンとして漫画を楽しんでいた様子。偶然にも、同作最後の1コマは満開の桜並木を描いた風景画だった。さらに有吉さんは最終話の公開から数十分後、「お疲れ様でした」として、青空の下で咲いた桜の木の写真を投稿。100日間を労ったようだ。
いきものがかり水野「電通さんは絡んでない」
なお炎上状態となった完結翌日の21日、きくちさんと「いきものがかり」水野良樹さんが、ツイッターライブで「100日後に死ぬワニ」の舞台裏を語った。水野さんは「『電通案件』なんて出てますけど、大きな誤解で、電通さんは絡んでない」とネットの噂をキッパリ否定。「電通さんが、プロジェクトの仕組み(に関わっている)とか、壮大な企画があって、何か月も前から巨大組織がいろいろな手を使っていろんな人を集めて、僕らも『いきもの』だからってことでやってるんじゃないかとか、そういう壮大なプロジェクトではない。電通さんは入ってない」とした。
きくちさん自身も「本当に何もしてないです」と重ねて否定し、「僕が個人的に始めて、メッセージを込めて、みんなにいろんなことを考えてほしい思いでワニの話を描きました。それにいろんな人が共感してくれて、仲間ができて、盛り上げてくれて、僕は感謝しかないです。裏ででかいことになってるんだろとか言われるのは悲しいなと思うけど、たくさんの人に見てもらえたから、それがまず嬉しいなと思います」と率直な心境を述べた。
きくちさんが「100日後に死ぬワニ」を描き始めたのは、20歳の時に「産まれた時から一緒にいた友達が事故に遭った」ことがきっかけと明かす。友達からの遊びの誘いを断った後、その友達は事故に遭い、その後きくちさんは「終わり」を意識して生活するようになった。「限りある時間の中で生きているわけで、周りにいる人を大事にして、一緒にいる時間を大切にしてほしいと、そういうメッセージを伝えられたらいいかなと思って、始めたのがこのワニの話です」と涙ながらに語っている。事故に遭った友達や自身の経験が盛り込まれているという。