押し入れの奥にしまわれている不用品を「資産」として扱おう――。フリマアプリ「メルカリ」は、所持品を登録すると、売却相場が瞬時にわかるサービスを始めた。
わざわざリサイクルショップへ持ち込まなくても、自宅で処分するスタイルは定着するのだろうか。
自動査定が増えつつある
「メルカリ」に2020年3月9日から、新機能「持ち物リスト」が追加された。所持品がいくらで売れるのかの相場がわかり、メルカリで購入した商品のみならず、商品写真から相場を判定する「売れるかチェック」で取り込んだものも対象となる。とくに初心者にとっては、価格設定がひとつのハードルとなる。「いくらで売れそうか」を予測してもらえると、心的負担は格段に下がるだろう。
買取専門店「なんぼや」を展開するバリュエンスグループのスマートフォンアプリ「Miney(マイニー)」も、時計やバッグ、ジュエリーなどに限られるが、所持品の資産価値をAI(人工知能)で判定してくれる。プッシュ通知で「売り時」を知らせる機能もあり、タイミングを見計らって、店頭・宅配買取に出せるのが特徴だ。
一連の端緒となったのが、17年6月スタートの「CASH(キャッシュ)」だ。スマホで商品写真を撮影すると、すぐさま査定額が表示されて、現金を受け取れるサービスで、開始初日に利用者が殺到して、2か月の休止を余儀なくされた。
実はメルカリも、CASHの対抗と言える「メルカリNOW」を提供していた。こちらもスマホカメラで撮影すると、即座に査定額が表示されるサービス。CASHよりも後発ながら、知名度の高い「メルカリ」ブランドとあって注目されていたが、わずか8か月でサービス終了となった。詳細な理由は公表されていないが、終了時の告知文には、
「今回のサービス提供を通じて得られました知見やご意見を、今後の新たなサービスに活かしてまいります」
とあり、今回の新機能にはメルカリNOWのノウハウも応用されたと考えられそうだ。
梱包・発送を代行してくれる「あとよろ」サービスも
メルカリは以前から、自宅に眠っている「かくれ資産」を活用するよう呼び掛けている。ニッセイ基礎研究所監修のもと、メルカリのデータを用いて、「みんなのかくれ資産調査委員会」が行った調査(18年10月)によると、国内の「かくれ資産」の総額は37兆177万円と推計され、国民1人あたり28万1277円となり、主に服飾雑貨(41.7%)、書籍・CD・ゲーム類(21.7%)などで構成されているという。
20年2月の事業戦略説明会では、新サービス「あとよろメルカリ便」の試験運用も発表された。「あとはよろしく」の略語を冠している通り、出品が完了した商品を提携倉庫へ送れば、売れるまでの商品保管と、成約後の梱包・発送作業を代行してくれるサービスだ。「持ち物リスト」と併用することで、これまで「面倒くさい」とフリマアプリを敬遠していた人にも、心理的距離が近くなりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)