伸び悩む株価に厳しい目線
この間、国内の第3のビール「本麒麟」が大ヒットし、主力ブランド「一番搾り」も好調の一方、豪ビール事業などは不振。また、協和発酵バイオで品質管理問題が発覚し、2019年9月から一部製品の出荷停止が続いている。2019年12月期決算は、売却予定の豪飲料事業で571億円の減損を計上したことも響き、純利益が前期比64%減の596億円にとどまった。
こうした状況は、「脱・ビール依存」、医薬・健康事業の強化の途上といえ、キリンHDはこの路線に沿って、2021年12月期までの3年で3000億円のM&A枠を設けて事業の入れ替えや強化を進める方針だ(ファンケルへの出資もその一部に含まれる)。
ただ、市場にはあまり評価されていないようだ。2019年の株価の年間騰落率はプラス6.1%で、ライバルのアサヒGHDのプラス18.7%に見劣りする。
そんな中での英FPの多角化批判なのだ。昨秋の書簡以降、水面下で話し合ったが、決裂し、2020年1月、医薬事業など「非中核事業」を売却し、6000億円の自社株買いを実施するとともに、2人の社外取締役候補を株主提案している。医薬・健康事業は本業のビールとの相乗効果が見当たらないというのが理由だ。この間の「コロナ・ショック」の下げを除いて2200~2600円で推移している株価について、FPは本業のビール事業に経営資源を集中すれば、理論値で3700円程度は可能とみているという。