森友問題、近財自殺職員「手記」をスルー 政府が「再調査」をしない理由

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   学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた財務省近畿財務局職員が、決裁文書改ざんを何度も強要され自殺に追い込まれたとして、妻が2020年3月18日、国と佐川宣寿元国税庁長官に計約1億1200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。

   原告側は「(改ざんは)すべて、佐川理財局長の指示です」などと書かれた手記と遺書も公開し、うやむやになっていた森友問題が「再燃」した形となった。

   しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に報道が集中する中で、国民の関心が高まるのかどうか。すでに調査報告と検察の不起訴で「解決」とする政府はどう受け止め、野党はどう対応するのか。手記公開後の与野党、関係者の発言を整理する。

  • 真相解明は進むか
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「残された道は訴訟しかない」

   財務省近畿財務局の上席国有財産管理官だった赤木俊夫さん(当時54歳)。18年3月に改ざんが発覚した5日後、みずから命を絶った。近畿財務局は19年2月、公務災害に認定している。

   手記は、「真実を書き記しておく必要がある」との考えから作成したという。森友問題の最大の原因は「財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていること」だと綴り、改ざんは「すべて、佐川理財局長の指示です」と断言する。

   「野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました」などと具体的な指示内容にも言及し、「近畿財務局内で本件事案に携わる職員の誰もが虚偽答弁を承知し、違和感を持ち続けています。しかしながら、近畿財務局の幹部をはじめ、誰一人として本省に対して、事実に反するなどと反論(異論)を示すこともしないし、それができないのが本省と地方(現場)である財務局との関係であり、キャリア制度を中心とした組織体制のそのもの(実態)なのです」と現場の視点を指摘している。

   報道によると、今回の裁判の目的について、原告代理人の生越照幸弁護士は記者会見で「原告としては、なぜ夫が死んだのか、任意で尋ねても教えてもらえない、情報公開しても教えてもらえない。そうなると残された道は訴訟しかない」と話している。

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