国債は「100年後に返します」「200年後に」でもいい
―― 提言では、国債を財源に30兆円規模の補正予算を編成し、2025年のプライマリーバランス黒字化目標は当分の間延期することを掲げています。財務省が日本国債の格下げに反発して出した文書では、 「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」 「更に、ハイパー・インフレの懸念はゼロに等しい」 と主張しています。それでも、国債はいつかは返さなければならないと思うのですが、スケジュール感はどのようにお考えですか。
安藤: それが大きな課題ですね。「いつかは返さなきゃいけない」と考える人が日本人のほとんどだと思いますが、国債は実は借金ではなくて、国が通貨を発行するという行為なんですよ。つまり、国が通貨を発行してそれを民間に支出しますから、結局民間が豊かになるという行為なんですね。誤解を払拭するのが一番良いのですが、ここまで「借金だから返さなきゃいけない」という考えが世の中に浸透してしまうと、一気に払拭するのは難しい。そこで次の説明としては、国という経済主体はいわば「永遠」だというものです。ということは、いつか借り換えにいっても問題ないし、例えば「100年後に返します」「200年後に」といった話をしてもいいわけです。今、国債は60年で償還するルールで運用していますが、世界でこんなこと決めている国はどこにもないし、世界中が「国債は減らさない」というのが基本的なスタンスです。そういう世界標準に日本の財政も合わせていくべきです。我々の勉強会では、プライマリーバランス黒字化目標自体の撤回を主張しています。その(黒字化の)目標自体が無意味です。