宝塚歌劇団は2020年2月29日以降、3日間だけの再開を挟んで、新型コロナウイルスの影響で宝塚大劇場・東京宝塚劇場での公演を中止している。
政府による大規模イベントの自粛要請がいつ明けるか見通しが立たないまま、東京宝塚劇場では雪組公演「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」の千秋楽が近づいており、ファンと世論・政府の動向を注視した決断が迫られている。
9日に再開も、自粛要請で直後に再度中止
2月26日に政府から大規模イベントの自粛要請が出されると、2月29日までに宝塚・東宝・松竹など大手演劇はそろって公演の中止を決定した。宝塚では中止期間を「当面の間」としつつ、3月8日までの公演中止を発表していた。この時宝塚大劇場では星組公演が3月9日まで、東京宝塚劇場では雪組公演が3月22日までの予定だった。中止期間を他社より短く3月8日までとしたのは、星組公演千秋楽を9日に控えていたためだろう。
3月6日、告知通りに9日以降の公演は上演すると発表し、劇場で感染拡大防止の対策を実践した上で9日に宝塚、10日に東京で公演を再開した。
ところが11日に、翌12日から19日まで東西で公演を再び中止すると発表し、さらに18日午前には21日までの公演中止を決めた。これにより雪組公演のみならず、花組トップスター柚香光さんのお披露目公演の予定だった花組宝塚大劇場公演の初日も3月13日の予定から延期になり、雪組公演も3月22日の千秋楽を残すのみとなってしまった。
背景には再開翌日の10日に出された政府からのイベント自粛期間の延長要請と、世論の反発があったと考えられる。多くのファンは公演再開を支持し、積極的にマスクを着用するなど感染者を出さないよう努めていたが、再開のニュースには「時期尚早」「感染者が出たらどう責任を取るのか」といった、バッシングに近い反対意見も寄せられた。
政府の最初のイベント自粛要請に応じて公演を休止した大手興行会社、ジャニーズ事務所・東宝・松竹・劇団四季は3月下旬まで公演中止期間を延長していた。結果的には宝塚大劇場での星組公演千秋楽のみ行い、並行して東京公演もまた中止に戻った形になった。
宝塚が一度は9日からの再開にこだわった背景には、劇団とファン双方にとって千秋楽が持つ重みにあるだろう。
ロングランなし、退団者を見送る特別な千秋楽
宝塚歌劇は公演期間の延長・ロングランはなく、高い評価を得た作品でも当初の予定通りで公演を終える。そして特別なのは千秋楽で、主演のトップスターと退団者による挨拶、また東京公演千秋楽では原則ライブビューイングも行われる。3月9日の星組公演千秋楽では退団する華形ひかるさん(専科)の退団挨拶が行われているが、雪組公演でも舞咲りんさん・早花まこさん・美華もなみさんの3人が退団予定である。
また宝塚大劇場の千秋楽はあくまで本拠地宝塚での千秋楽で、退団日は東京公演千秋楽であるのが通例。当然チケットはプレミアとなり(今回は該当しないが)トップスターの退団公演ともなればなおさらだ。
台風19号ではぎりぎり上演も...「自粛」継続なら?
昨19年は星組前トップスター・紅ゆずるさんと前トップ娘役・綺咲愛里さんの退団公演千秋楽直前に台風19号(東日本台風)が関東に上陸、千秋楽前日の10月12日公演が中止となったが、台風が過ぎ去り13日の東京公演千秋楽は上演できた。台風であれば当日の天候に基づいて開催・中止の判断はたやすかったが、収束の見込みが立っていない新型コロナウイルスでは難しい。
3月10日に政府が「10日間ほどの」イベント自粛要請を行っており、19日には要請を継続するか否かの声明が改めて出されるとみられ、歌劇団も政府方針を踏まえて判断するとしている。「要請」のトーンが弱まれば公演再開への機運も高まるが、もし自粛継続の要請が出されれば、千秋楽だけといえども上演に対する世間からの圧力が強まることも予想される。また雪組公演だけでなくその後の星組東京公演・花組宝塚大劇場公演にも影響が及ぶため、歌劇団は難しい舵取りを迫られる。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)