山尾志桜里衆院議員が2020年3月18日、立憲民主党に離党届を提出した。自身のフェイスブックで同日夕に明かした。
「立憲民主党の執行部の考え方と齟齬」
新型コロナウイルス感染拡大防止のための「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正案で、首相による緊急事態宣言の行使をめぐり、立憲や国民民主党は付帯決議に法的拘束力のない「国会への報告」を盛り込むことで妥協した。「国会の事前承認」を明記するよう求めていた山尾氏はこれを受け入れず、12日の国会の採決では造反した。ツイッター上でも枝野幸男代表の名前をあげながら党の方針に反意を示すなどしていた。
立憲の福山哲郎幹事長は18日夕、「先ほど、山尾しおり議員から離党届が提出されたと、党から報告を受けました。直前に山尾議員から連絡をいただき、30〜40分間話し込みました。強く慰留しました。立憲民主党にとって議会にとって、必要不可欠で大切な存在であり、認めないし、受理できない、と申し上げました。今後、協議します」と山尾氏の離党届についてツイッターに投稿した。
山尾氏がフェイスブックに投稿した離党届提出の報告は、下記の通り。
「今日3月18日夕方、立憲民主党に離党届を提出してきました。
コロナ特措法をめぐる一連のできごとはきっかけに過ぎません。
私は、国会議員の本分は、意見の違う相手とも議論して、その議論のプロセスを国民と共有し、出てきた結論には責任をもって賛否を示す。その上で、さらによりよい解決策を目指して前向きに議論を続けていく。これが大切な役割だと思っています。
その『議論』が、追従ありきでも批判ばかりでもない、建設的な『対話』であれば素晴らしいです。
そして、その「対話」が、国民に開かれた風通しのよいものであれば、きっと政治に対する国民の不信を信頼へと変えていけるはずだとも思います。
この議員としての職責を果たすためには、オープンな対話型の議論を大切にする政党文化が必要ですが、残念ながら私はそうした文化を党内で創り出すことができませんでした。この点は自身の力不足を感じています。
しかし、これ以上立憲民主党に所属しながら、国会での議論を通じて議員としての本分を果たすことは難しいという判断に至りました。
あわせて、私は、立憲主義の大前提は闊達な憲法議論であると思いますし、報道の自由なくして民主主義は成り立たないと信じています。
この点でも、立憲民主党の執行部の考え方と齟齬が生じています。
立憲主義と民主主義という大切な価値観で折り合えないまま、政党に所属して活動することは適切でないと思います。
これが、今回離党を決断した理由です。
どの政党に所属していても、あるいは無所属であっても、国会議員である以上、国会運営が属人的な要素や政局的な要素に左右される『人の支配』に陥らないように、国会議員一人一人が積極的に自ら議論の主体として『法の支配』を堅持していく覚悟が必要だと思います。
今後も引き続き、オープンな対話型の議論にこだわりながら、時代が求める解決策を立案・実行していくために、一議員としてできる限りの仕事ができるよう様々努力していきたいと思っています。
読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。
山尾志桜里」