「500兆円のインフラ予算」というSNS情報
その一方で、3月17日現在、テレビでは朝から、中国全土の各省から武漢に派遣されていた医療チームが撤退するニュースが流されている。総勢約4万人の支援チームは続々と各省に戻りつつある。
武漢に出かける前に若い医師や看護師が、男女を問わず急いで丸坊主になったが、ニュース映像を見ると、間違いなく女性の看護師たちもけっこう黒い髪が生えてきていた。ここ2、3日のうちに全員撤収するという。
経済活動が復活する兆しも見えてはきた。ある県の共産党書記はテレビに出て「うちの県の地鶏は今も100万羽ほどの売り先を探している」と話していた。若い出稼ぎ労働者は、出かける前にきちんと散髪して広東の企業がチャーターしたバスに乗り、内陸から沿海部に出かけようとしていた。
世界的なコロナウイルスの感染が欧米で急拡大する反面、政府発表では収束傾向にある中国では、経済は3月の下旬から変化するだろうとの予測も出ている。中央政府は、湖北省でも新たな患者が出ていないところでは、閉鎖した団地や村を開放せよと既に命令を下している。要人も多い首都・北京ではなかなか閉鎖令を解かないだろうが、北京以外のところは緩和していくとみられる。
中国経済は今後、加速度的に復活する可能性もあるとの期待も膨らんでいる。「政府は34兆元(500兆円強)の情報インフラ予算を編成している」などの出所不明の情報がSNSからどんどん出てくるからだ。
テレビでは、出稼ぎに行く労働者が「1日10時間ぐらいは働きたい」と言い、「レストランが開かれたら、2か月も飲んでいない酒をこれから飲みにいく」と消費者が語っている。 少なくとも中国国民の関心は、新型コロナへの恐怖から、医療支援チームの撤収、そして消費の正常化へと移りつつある。
(在北京ジャーナリスト 陳言)