1年延期だと2つの世界選手権とバッティング
このままウイルスの感染状況が好転しなければ、大会の延期もひとつの選択肢となるだろう。ただし、1年後の2021年は2つのビッグイベントが控える。7月には日本で水泳の世界選手権が予定され、8月には米国で陸上の世界選手権が控える。1年後に五輪を開催するのならば、五輪と重複する2つの世界選手権のスケジュールを見直す必要が出てくる。
延期期間を「2年」とした場合はどうだろうか。2022年は北京で冬季五輪の開催が予定されている。2年後の開催となれば、代表選考の再考問題など解決すべき課題は残されるものの、五輪を通して「アジアから平和を発信する」という意義は見出せる。冬季、夏季の同年開催は、「平和の祭典」を掲げる五輪理念に寄り添い、スケジュール的にも理想的である。
新型コロナウイルスが欧米での感染を広げる中、五輪の開催問題はもはや日本のものだけではなくなりつつある。IOC、日本政府はあくまでも今夏の通常開催に向けて準備を進めているが、多くの国民の理解を得るのは難しいだろう。五輪の理念に従い、観客を入れて開催するのであれば、大会を延期して安全上の問題を完全にクリアしてから開催するのが現実的だろう。