「2021年、オペルが日本に帰ってきます!」。そんなメッセージがドイツの自動車メーカー・オペルのウェブサイトに登場した。近日中に「オペル日本語版ウェブサイト」を開設し、詳細を発表するという。
オペルは2020年2月18日、日本市場に再参入すると発表したが、日本では一部の自動車関連のニュースサイトを除き、大きくは報じられなかった。しかし、オペルが前回、日本市場から撤退したのは06年で、15年ぶりに日本に正規輸入ディーラーが復活するのは、日本のユーザーにとっては朗報だ。
3モデルを日本で発売
オペルが今回、日本で発売するのは3モデルで、ハッチバックの「コルサ」と背高ワゴンの「コンボライフ」、SUV(多目的スポーツ車)の「グランドランドX」という。
オペルが日本市場に再参入することは、日本では2019年12月10日、日刊自動車新聞(電子版)が報じた。同紙によると、オペルは再導入に伴う販売店募集の説明会を19年11月、PSAの日本法人(プジョー・シトロエン・ジャポン)が東京、名古屋、大阪で開いたという。販売ネットワークの立ち上げは、既存のプジョー・シトロエン販売店が中心となるようだ。
オペルは1862年、ドイツでアダム・オペルによって創業し、1899年から本格的に自動車生産を始めた老舗メーカーだ。戦前から米ゼネラル・モーターズ(GM)の子会社となり、長くGMの欧州部門を担った。英国では「ヴォクソール」のブランドで知られる。
オペルは欧州市場でライバルの独フォルクスワーゲンや仏ルノー、伊フィアットなどとの競争で守勢に回り、GMは2017年、オペルをフランス大手グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)に売却した経緯がある。
発売50周年の人気モデルも
欧州はオペルが得意とする小型車の主戦場で、日本メーカーと欧州メーカーの競争が激しい。その中で、今回、オペルが日本市場に投入するコルサは同社の看板車種だ。コルサは1990年代半ばから2000年代初頭にかけ、日本ではヴィータの名称で販売し、ヒットした。当時、コルサの名称は日本ではトヨタが使用していたため、国内では改名せざるをえない事情があった。
オペルは日本メーカーとも関係が深い。2000年代前半には、当時同じくGMと資本関係にあったSUBARU(スバル)が、オペルのミニバン「ザフィーラ」を「スバル・トラヴィック」として販売したこともあった。
オペルは欧州の自動車メーカーの中で、スポーティーな小型車が得意だ。1970年に発売したアスコナとマンタは同社を代表する人気モデルとなり、モータースポーツでも活躍した。
2020年はアスコナとマンタの発売から50周年で、オーナーズクラブなどが参加する記念式典がドイツで開かれるという。そんな伝統をもつドイツの自動車メーカーが日本に再上陸し、日本のユーザーにどう評価されるのか、今後の行方が注目される。