新型コロナで「軟禁状態」の外交官たち SNSで伝えた平壌のいま

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   新型コロナウイルスの感染拡大で、北朝鮮は2020年2月初めに隣国との航空便と鉄道の運航を停止し、鎖国に近い状態が続いている。

   北朝鮮と国交を持ち、平壌に大使館を置いている国々の外交官も、その影響を受けた。一部の国は現地の「軟禁状態」からフェイスブックやツイッターを更新しており、国営メディアからは分からない現地の様子を伝えている。

  • 平壌のインドネシア大使館では写真講座も開かれたという(写真はインドネシア大使館のツイッターから)
    平壌のインドネシア大使館では写真講座も開かれたという(写真はインドネシア大使館のツイッターから)
  • 平壌の英国大使館がある区域には4つの外国公館があるが、ドイツとフランスは一時閉鎖。英国とスウェーデンの国旗だけ掲げられている(写真は英国のコリン・クルックス大使のツイートから)
    平壌の英国大使館がある区域には4つの外国公館があるが、ドイツとフランスは一時閉鎖。英国とスウェーデンの国旗だけ掲げられている(写真は英国のコリン・クルックス大使のツイートから)
  • 平壌のインドネシア大使館では写真講座も開かれたという(写真はインドネシア大使館のツイッターから)
  • 平壌の英国大使館がある区域には4つの外国公館があるが、ドイツとフランスは一時閉鎖。英国とスウェーデンの国旗だけ掲げられている(写真は英国のコリン・クルックス大使のツイートから)

2月1日から3月2日まで大使館内に隔離される

   平壌に25以上ある外国公館のうち、最も頻繁に情報発信しているのがロシア大使館のフェイスブックだ。3月4日には、「外国人隔離解除確認書」と題した、北朝鮮側が発行した書類の写真を掲載。写真によると、大使館員は2月1日からロシア大使館内に隔離され、それが3月2日に解除されたことが分かる。ただ、この時点では出かけられる先は教会や自動車の修理店などに限られており、対象の拡大を働き掛けるとしていた。

   隔離が終了したこともあって、3月9日には平壌とロシア極東のウラジオストクを、国営高麗航空が1往復している。約1か月ぶりの航空便で、多くの外交官がこの便で北朝鮮を「脱出」した。

   ロシア大使館の書き込みによると、搭乗客のうち80人が外国人で、そのうち13人がロシア大使館関係者。ドイツ、フランス、スイスの関係者は全員が搭乗し、大使館や現地事務所を一時閉鎖した。それ以外にも、ポーランド、ルーマニア、モンゴル、エジプトの関係者が搭乗した。

ドイツ大使館とフランス協力事務所は全員が脱出→一時閉鎖

   英国のコリン・クルックス大使は、

「残念ながら今朝、一時閉鎖されるドイツ大使館とフランス事務所の同僚に別れの挨拶をした。英国大使館は引き続き開館している」

とツイート。投稿された写真には国旗を掲揚するポールが4本写っているが、実際に掲揚されているのは英国とスウェーデンの2本のみだ。英国大使館はスウェーデン、ドイツの両大使館、フランスの協力事務所と同じ区画にあり、一時閉鎖にともなってドイツとフランスの国旗が掲揚されなかったことを示している。

   3月12日付のロシア大使館の書き込みによると、大使館関係者はマスク着用の上、大使館があるエリアの外に出ることができるようになったが、人混みや公共交通機関の利用はできず、訪問できる場所も引き続き制限されている。

インドネシアはエクササイズと写真講座

   「残念ながら、外交活動でも前向きな変化はみられない」と、不満ももらした。北朝鮮側との会議は可能になったものの、実際に再開には至っているわけではない。外交行事も開催可能だが、一度に集まれるのは最大で5人まで。実質的に禁止が続いている状態で、3月17日に予定していた「朝ソ経済文化協力協定」締結記念レセプションも開催を断念した。この協定は1949年に締結。例年は北朝鮮の国営メディアもレセプションの様子を報じるなど、両国の間では重要行事のひとつだ。中止は「両国関係の中では初めて」だという。

   比較的「ゆるい」書き込みが目立つのがインドネシア大使館で、3月5日には、「北朝鮮在住のインドネシア人の健康維持を支援する」ための取り組みとして、大使館員が現地スタッフとエクササイズする写真を投稿。3月10日の投稿では、大使館員向けに写真講座を開いたことを紹介。「その成果はこの投稿で」とも書かれており、講座を受けている様子の写真、スタッフの集合写真、水たまりに大使館の建物が映り込む写真、大使館前に大量に駐輪されている写真が投稿された。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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