「こんな新幹線見たことない」
ところが、こうして超過密ダイヤを実現したはずの東海道新幹線は、現在新型コロナウイルスの流行で大幅に乗客を減らしている。すでに2月20日時点で東海道新幹線の2月の利用者数は前年比で8%減少していると報じられ、3月1日から9日の利用者数に至っては前年比56%減と、半分以下にまで落ち込んでいる。
新幹線の乗客からは「こんな新幹線見たことない」といった驚きとともに、車内に乗客がほとんどいない列車の写真がツイッターなどにしばしば投稿されている。
厄介なのは、短距離利用が多い「こだま」が前年比53%の利用者数で持ちこたえている一方で、旅行や出張での利用が多い「のぞみ」「ひかり」が、それぞれ前年比43%、42%と乗客が激減していることだ。稼ぎ頭のはずの「のぞみ」が大打撃を受けている。
これでは、せっかくののぞみ「最大12本」ダイヤも持てあましてしまう。20年の春休みと5月の大型連休では、新ダイヤを生かして1日最大上下458本(3月27日と5月6日)の「のぞみ」を運転する計画だったが、予定通りのダイヤで運転できるのか。3月11日時点でJR東海に取材を行ったところ、春休みや5月など繁忙期の臨時列車については需要に応じて列車設定を見直す可能性もあるという回答だった。臨時列車の削減も考えられるため、「のぞみ」の「1時間に最大12本」運行がいつ実現するのかは見通せない状況になっている。
東海道新幹線のダイヤは日ごとに細かく列車の運転日が変わっていくが、ウイルス感染の終息時期が見通せないなか、のぞみ増発も盛り込んだ新ダイヤが十二分に能力を発揮できるまで時間がかかりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 大宮 高史)