春の選抜中止で東京五輪はどうなる? 組織委理事「延期も選択肢」発言の波紋

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   第92回選抜高校野球大会(春の選抜)の中止を受け、今夏に予定される2020年東京五輪の行方に注目が集まっている。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京五輪の開催が危ぶまれる中、東京五輪組織委員会の高橋治之理事が、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで開催延期の可能性について言及。高橋理事の発言が波紋を広げている。

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IOC会長は「東京大会の成功を確信している」

   2020年3月10日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、同紙のインタビューに応じた高橋理事が、私見として新型コロナウイルスの感染拡大により今夏の東京五輪の開催が困難な場合、開催を1、2年延期することが現実的な選択肢との見解を示した。この発言はあくまでも高橋理事の私見であり、大会組織委員会の公式見解ではないものの、通常開催を推し進める大会組織委員会に一石を投じる形となった。

    新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本国内ではプロ野球の開幕が延期となり、サッカーのJリーグ、ラグビーのトップリーグなども試合が延期された。アマチュアスポーツでも全国規模の大会は軒並み中止に追いやられ、選抜高校野球大会は史上初の中止となった。海外でもスポーツイベントが次々と中止となっており、イタリアのサッカーリーグ、セリエAをはじめとし、ラグビー、陸上、ボクシングなど多くの競技の試合が中止、延期された。

   東京五輪の開催を巡って、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長はここまで一貫して通常開催を強調し、「東京大会の成功を確信している。選手たちには準備を続けてほしい」と語っている。一方で、IOCのディック・パウンド委員は、海外メディアに対して東京五輪を開催するかどうかの判断期限は5月下旬になるとの見解を示し、延期や開催地変更は困難であると語っている。

フィリピンメディアは批判的な報道

    新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見えないなか、通常開催の準備を進める大会組織委員会に対して、批判的に報じる海外メディアもある。フィリピンの地元メディア「The Manila Times」は、「2020年東京オリンピックの主催者は、世界最高のアスリートが集う4年に一度のチャンピオンシップを延期するか完全にキャンセルするかという問題を断固として回避している」と辛らつな意見を述べている。

   事態は一向に好転する気配が見られず、政府は3月10日に大規模イベントの自粛要請期間を10日間程度延長した。新型コロナウイルスの感染拡大の状況次第では、今後、自粛要請期間がさらに延長される可能性もある。五輪を運営するにあたり、少なくとも2カ月前から準備する必要があるとされ、IOCのパウンド委員が指摘するように5月下旬がひとつの判断基準になりそうだ。

   世間の注目を集めた選抜高校野球大会が、大会史上初の中止となった。日本高野連の八田英二会長は「世の中には厳しい決断を迫られることがあることをぜひ理解していただきたい」と苦しい胸の内を語った。新型コロナウイルスの世界的な感染が広がるなか、東京五輪の大会組織委員会に決断の時は訪れるのか。今後の動向に注目される。

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