岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
予備選候補者をめぐる民主党支持者の本音

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中道バイデンVS急進左派サンダースの一騎打ち

   この日、マンハッタンのミッドタウンにあるアイリッシュ・バーでは、スーパー・チューズデーの結果をテレビで一緒に見ようと、「ウォッチ・パーティ(watch party)」が行われる予定だった。興味があれば、党派を問わず誰でも参加できる。が、店に行ってみると、「主催者から連絡があり、急遽、中止になった」とバーテンダーの女性が言った。彼女にも理由はわからないが、新型コロナウイルスの影響かもしれない。

   店内のテレビではスーパー・チューズデーの映像が流れていたものの、それとは関係のない大音量の音楽が響き渡り、テレビの声はかき消されていた。が、私のように「watch party」があると思ってやってきた人たちも、音楽をやめてくれと頼むでもなく、おしゃべりに夢中で、時折、映像に目をやる程度だ。

   ニューヨーク州の予備選挙は4月28日と遅いため、そこにいた民主党支持者たちもまだ差し迫った感はあまりなく、支持する候補者がいるとはいえ、「目指すはトランプ打倒」という雰囲気だった。

   民主党候補者らもそろって、「打倒トランプ」を唱えてきた。あとから参戦し、金に物を言わせる選挙PRを批判された大富豪で中道派のマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長(78)は、「打倒トランプ以外に有意義な金の使い方はない」と訴えた。

   民主党エスタブリッシュメントがバイデン氏に支持を集結させた結果、スーパー・チューズデーでは、同氏が予想をはるかに超えて14州中10州を制し、一気にフロントランナーに躍り出た。サンダース氏は若者やヒスパニック層を取り込み、地元の東部バーモントや西部のカリフォルニア、コロラド、ユタの4州で首位に立った。

   ブルームバーグ氏はスーパー・チューズデーでの惨敗の直後に予備選から撤退し、バイデン支持を表明した。3月8日には2019年12月に候補争いから撤退したカマラ・ハリス上院議員(55)が、9日には2020年1月に撤退したコリー・ブッカー上院議員(50)が、立て続けにバイデン氏を支持する意向を示した。

   地元である北東部マサチューセッツ州で3位に甘んじた左派のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)は、3月5日に撤退を決め、民主党の予備選の焦点は、バイデン氏とサンダース氏の一騎打ちに絞り込まれた。

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