「トランプを打ち負かせるなら、誰でもいいわ」
スーパー・チューズデーの夜、その結果をライブで報道するテレビの特別番組がある。タイムズスクエア近くでバスを待っていた白人女性(60代)は、スーパー・チューズデーの結果には興味もないと私に話した。
「候補者のくだらない言い分なんて聞きたくもない。それより、映画でも見るわ。トランプに勝ち目があるのは、バイデンだけ。彼しかいないわ。バイデンがトランプを打ち負かしたら、ハッピーだわ。トランプはアメリカのヒットラーよ。あなた、知らないの?」
やってきたバスに乗り込もうとする私の背後で、別のバスを待っていたその女性は、「We've got to get rid of Trump!(トランプを引きずり下ろさなきゃ!)」と3度、大声で繰り返した。
そのあと、乗り継ぎのバスを停留所で待ちながら、そばにいた白人女性(60代)に、「どの候補者を支持しますか」と声をかけると、「民主党候補者はどれも、どっちもどっちよ」と大して興味もなさそうに答えた。
この女性は、「(前回の大統領選では、)ヒラリーも信用していないから、彼女にも投票しなかったわ。トランプを打ち負かせるなら、誰でもいいわ。バイデンでもサンダースでも、トランプと比べたらずっとましだわ」と投げやりに言う。
「民主党がトランプを打ち負かせると思うか」と私が聞けば、「I hope so.(そうでなきゃ困るわ)」と強い口調で言うものの、あとは無言で首を左右に振るばかりだ。
家路を急いでいた男性(30代)は、どの党を支持しているか答えたくないようだったが、「アメリカの経済にとってはトランプがベストだ、ってことは民主党もわかっている。でも、共和党に対して勝ち目がないのは明らかだから、バイデン支持を全面に出して、責任をすべて彼に押し付けようとしているんだと思うよ。エスタブリッシュメントは、サンダースのことを好きじゃないからね」