新型コロナでホテルが「日本人専用フロア」 予約サイトからは取り下げも...法的にはOK?NG?

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法的には?弁護士の見解

   国籍を利用条件にあげた今回の「日本人専用フロアプラン」だが、法的な問題はあったのだろうか。弁護士法人サンク総合法律事務所の樋口卓也代表弁護士は取材に対し、大きく3つの論点から見解を示した。1点目は憲法14条1項の平等原則に反するかどうか。

「この点、憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な区別的取扱いは許容されており、不合理な差別的取扱いのみを禁止していると解されています。

では、合理的な区別的取扱いか不合理な差別的取扱いか、どのように判断すればいいでしょうか。この点、諸説ありますが、目的が正当で、目的達成のための方法が合理的か否かという基準で判断することとします。

まず、当該宿泊プランの目的を考えてみます。例えば、日本人の中には、新型コロナウイルスの感染を恐れ、外国籍の方と接触することに不安感を抱く方もいます。このような方は、可能な限り、ホテル側に外国籍の宿泊者と接触しないような対応を希望することが想定されます。逆に、日本における新型コロナウイルス感染対策に不安を抱いている外国籍の宿泊希望者が、日本国籍の宿泊者と接触しないような対応を望むこともあり得ます。

とすると、新型コロナウイルスの感染が世界的に広がっており、その対策についても各国で区々となっていることに照らし、日本人宿泊希望者と外国籍の宿泊希望者、それぞれの希望に応じて、お互いの接触を避けるという目的で『日本人専用フロア』を設けたものと考えられます。新型コロナウイルスの急激な感染状況を考えると、このような目的は正当と言えるのではないでしょうか。

そして、その方法も、一律に外国籍の宿泊希望者の利用を拒否するものではなく、あくまで『日本人専用フロア』の利用のみが制限されるにすぎません。期間も、3月1日~4月11日までと限定されており、延長が認められるとしても、新型コロナウイルスの感染状況に応じるものとされ、必要かつ限定された期間での延長と考えられます。

また、あくまで宿泊部屋が存在するフロアへの出入りのみ区別するものであり、ロビーやレストラン等の利用については何ら区別されていないことからすると、外国籍の宿泊者の利益が大きく損なわれるものとは言えないと解されます。とすれば、上記の目的を達成するための方法として、合理的な方法と言えるのではないでしょうか。

よって、『日本人専用フロア』というプランを設けることは、合理的な区別的取扱いにあたり、憲法14条1項の平等原則に反するとまでは言えないと考えられます」
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