加盟企業の求人ページに、不適切な内容が掲載されていたとして、ストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」を展開する「フュービック」(東京都新宿区)は2020年3月10日、「多くの方に不快な思いをさせてしまいました」と謝罪した。
ページ上には、「(新型コロナウイルス感染症には)気持ちいれて働いてたらかからない」「残業代なんて出すわけがありません」などと企業倫理が問われる文章が掲載され、インターネット上で批判を集めていた。
同社は第三者によりページを改ざんされたとし、警察に被害届を提出したと明かす。フュービックと求人サイトの運営会社に詳細を聞いた。
「仕事舐めてる若者が多すぎます」
問題となった文章は、求人掲載や応募者管理ができるサービス「エンゲージ」に掲載された。運営は求人大手のエン・ジャパン。
Dr.ストレッチのフランチャイジー企業である「つながり」(東京都渋谷区)の求人ページに載せられ、同社の幹部社員名義で次のようなメッセージが送られた。
「仕事舐めてる若者が多すぎます。土日休みがいいとか意味がわかりません。サービス業で土日休みたいとか世間を舐めてますね。有給に関してもそう。有給消化なんて周りのこと考えたら使えないはずです。稼いでから言えって話」
「残業したくないとか勉強不足。残業代なんて出すわけがありません。自分が成長したり稼ぐ為に必要なのにその努力すら怠るなんて世間を舐めてるとしか思えません。そういう舐めてる人は叩き直します。いや叩き潰します」
「新型コロナだって体調管理ができてない証拠。あんなもの気持ちいれて働いてたらかからない。当たり前のことができない人は必要ありません。仕事を本気でやるならわかるけど、 舐めてる人はいりません」
すでに「渋谷警察署に被害届」と説明
求人は9日ごろからSNS上で拡散し、同社の企業姿勢を疑問視する声が相次いだ。
その後ページは削除され、フュービックは10日、「加盟店に於ける求人サイトの一部内容において不適切な表現が掲載されており、世の中をお騒がせする事となってしまいましたこと、また多くの方に不快な思いをさせてしまいましたことを重ねてお詫び申し上げます」 と謝罪文を公式サイトで発表した。
発表によれば、第三者によりページを改ざんされ、メッセージは事実無根だと主張。威力業務妨害ならびに名誉毀損行為に当たるとして、10日付で渋谷警察署へ被害届を提出し、原因究明と改ざん者の特定を要請したと明かした。
同社に、(1)改ざん前の内容(2)不正アクセスを受けた可能性(3)応募者の個人情報流出の有無――などを尋ねたが、「新たな事実が明らかになり次第、随時、本ホームページにてご報告させていただきます」などと明確な回答は得られなかった。
一般的に可能性としては、エンゲージのID・パスワードを知る内部の人間の仕業か、パスワードの漏洩やセキュリティー上の脆弱性による不正アクセスが考えられる。
エン・ジャパン広報は取材に「回答は差し控える」と回答。公式サイトでは同日、「一部のSNSやネット記事にて、当社が運営するサービス『engage(エンゲージ)』への不正アクセスについて言及がありますが、不正アクセスやそれによる情報漏洩が発生した事実はありません」との声明が発表された。