新型コロナウイルスをめぐるデマで、薬局やスーパーマーケットからトイレットペーパーの姿が消えた。日本家庭紙工業会によるアナウンスやスーパーによる注意喚起により、現在では品切れが解消しつつあるが、一部地域ではいまだ品薄状態が続いている。
この状況にSNSでは、やはりトイレットペーパーの品切れ騒動が起きた第一次オイルショック(1973年)を想起する人も多いが、話題となっているのは同時代に開発されたお菓子「ハッピーターン」だ。
「幸せがお客様に戻って来るように」
米菓メーカー最大手の亀田製菓より発売されているハッピーターンは、甘じょっぱい粉が降りかかった洋風のソフトせんべい。亀田の柿の種に次ぎ、同社製品の売り上げ第2位を誇っている人気商品だ。実はこのハッピーターンの名前の由来は、第一次オイルショックにある。
公式サイトによると、
「ハッピーターンが開発されていた時期は、第一次オイルショックの影響で、日本中が不景気な状態だった。そこで、文字通り幸せ(ハッピー)がお客様に戻って来る(ターン)ように、願いをこめて新商品に『ハッピーターン』と名付けた」
とのこと。
また亀田製菓が本社を置く新潟県の新潟日報(2006年5月22日付)に掲載された、同社商品企画部マネージャー(当時)のインタビューでは、
「米菓を買う層は40~50代の主婦なので、奇抜すぎてもだめ。その上、10、20年たっても廃れない新鮮な名前も求められる。当時、商品そのものという名前を付けることが多かった中で、イメージだけで名付けることは斬新だったと思う」
と語られている。
1973年に起きた第一次オイルショックでは、原油価格が高騰する中、無関係なトイレットペーパーの品薄の噂が流れ、人々が買い占めに走って騒動となった。一方、1976年に発売されたハッピーターンは、その名が廃れることなく現在でも多くの人に愛されている。
今回、やはり無関係にもかかわらず起きたトイレットペーパーの品切れ騒動が話題を呼ぶ中、ハッピーターンの名前の由来を紹介したツイートが話題に。ハッピーターンの公式ツイッターもその投稿をリツイートするなどして拡散が続き、意外な縁に注目が集まっている。
SNSでは「そんな由来があったとは」と驚きの声や、トイレットペーパーではなく「ハッピーターン買い占めて来ます」「次はハッピーターンが売切れる?」とつぶやく声が上がっている。