日本野球機構(NPB)は2020年3月9日、都内で12球団代表者会議を開き、3月20日に予定されていたセ・パ両リーグの開幕延期を決定した。延期の期間などに関しては今後、話し合いにより調整し、遅くとも4月中の開幕を目指すという。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、NPBはこの日午前、サッカー・Jリーグと合同の「新型コロナウイルス対策連絡会議」で、専門家から開幕について「延期が望ましい」と提言されていた。
高野連は対策連絡会議出席も開催可否は独自路線
公式戦開幕を11日後に控え、NPBが大きな決断を下した。専門家チームを招いて開かれた「新型コロナウイルス対策連絡会議」では、通常開催にあたり観客をはじめ選手や関係者の健康管理、球場内での感染予防体制を整備する準備期間が足りないとの意見が出たという。この時点でNPBの斉藤惇コミッショナーは、専門家の見解を重要視する意向を示し、開幕延期は決定的な状況となっていた。
プロ野球の開幕延期が決定したことで、19日から甲子園球場で開幕を予定する第92回選抜高校野球大会の開催可否に注目が集まる。日本高野連の小倉好正事務局長はこの日行われた「新型コロナウイルス対策連絡会議」にオブザーバーとして出席。大会の開催可否を決定する11日の臨時運営委員会に向けて、各専門家からの情報収集に努めた。
現状、選抜大会は無観客開催で準備を進めており、その方針は変わらないという。プロ野球が開幕を延期しても、高野連は独自の判断で開催の可否を決定する意向で方針にブレはない。高野連の八田英二理事長は4日に行われた会見で、最大限に感染防止に努めることを約束し、「彼ら(球児)の夢を手助けしたい」と語っており、大会開催の実現へ向けて意欲を見せていた。
兵庫県内では13人目の感染者が...
高野連が開催可否の結論を先送りする間、状況は刻々と変化している。3月5日までに、3月中に予定されていた24のすべての高校全国大会が中止となった。これは全国高等学校体育連盟に加盟している競技で、野球は高野連に加盟しているため同連盟の方針に従う必要はないものの、同じ高校スポーツの選手たちが新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全国の道を閉ざされている。
関西地区で無観客開催に踏み切った大相撲の大阪場所では、2日目の9日に序二段の力士が発熱して休場した。スポーツ各紙の報道によれば、インフルエンザの検査は陰性だったという。日本相撲協会は37度5分以上の発熱が2日間続いた場合、原則休場させることを決めており、協会員の中で新型コロナウイルスの感染者が1人でも確認された場合、大阪場所は中止になる。
選抜大会の開催が予定される甲子園球場の周辺地域では、住民による不安の声も聞こえている。神戸新聞WEB版(3月9日配信)によると、神戸市は同日、兵庫区役所に勤務する派遣社員の40代女性が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。これで兵庫県内での感染者は13人目となった。全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が収まる気配が見られないなか、高野連は11日に開催可否の決断を下す。