今までの支持率急落とは「異なる」部分
安倍内閣は「支持率」と「経済」を強みとして、長期政権を実現してきた。その自負は首相周辺も強いからこそ、支持率急落に対する危機感も人一倍強いのかもしれない。
2020年2月に行われた、報道各社の世論調査。その結果に、永田町では衝撃が走った。共同通信社の調査では内閣支持率は前回比8.3ポイント下落の41.0%、産経新聞・フジテレビの調査では前回比8.4ポイント下落の36.2%と、内閣不支持率が支持率を上回るという、顕著な急落傾向が明らかになったのだ。
ある自民党関係者はこう分析している。「ここまでの急落は、2015年の安保法制成立時、2018年の森友学園問題をめぐる財務省の決裁文書書き換え以来のこと。そのくらい異例の事態で、首相周辺は相当焦っている」と。
また、経済政策に強い自民党中堅議員は「今回の急落がいままでと異なるのは、経済に直結する点だ。安保法制も森友学園もいくら大きな問題となっても、一般の国民生活には影響が少なかった。だが、今回は、観光業・接客業はじめ、現状では試算不可能なくらいの経済的ダメージが予想される。2020年6月過ぎからは企業倒産も相次ぐ可能性だってある」というのだ。
たしかに市場も敏感に反応している。2020年3月9日時点で、日経平均株価は前日から900円以上下がり2万円割れ、さらに外国為替市場では円高ドル安が進行し、一時1ドル=101円台をつけた。