危機に「強い」政権だったはずが...
ここで押さえておきたいのが、新型コロナウイルスをめぐる安倍政権の対応ぶりだ。武漢市からのチャーター機の費用負担、「指定感染症」の政令施行日をめぐる二転三転に始まり、場当たり的との批判も根強い「全国一斉休校」、そして市中感染防止の段階での中韓からの入国規制。新型コロナをめぐる安倍政権の対応が、実効性よりも、取り組む姿勢の「アピール」に終始しているように見えて仕方ない――そうした批判も少なくない。
ただ、2012年からの第二次安倍政権の歩みを振り返ってみると、決して危機管理に弱い政権ではないのだ。
2013年のアルジェリア人質事件、2015年のイスラム国による日本人人質事件、2016年の熊本地震、2017年の北朝鮮のミサイル発射・核実験、2018年の西日本豪雨など、内政で窮地に立たされた場合でも、こうした危機に対する冷静で適切で緻密な対応を武器に、内閣支持率を盛り返すというのが、安倍政権が長期政権となった1つの要因でもあった。だからこそ、前出の一般的な理由以外になにか事情があったのではないかと勘繰ってしまうのだが――。