続投が「ニュースになってしまった」パナソニック・津賀社長が迎える正念場

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成長の柱「中国」も新型コロナで逆風

   その一方で、2019年には不採算事業の切り離しに相次いで踏み切った。テスラ向け以外の車載電池事業は、トヨタ自動車に事実上売却した。パナソニックホームズ(旧パナホーム)などの住宅事業は、これもトヨタ自動車の住宅事業と統合させ、パナソニックの連結対象から外した。確かに100年を超えるパナソニックの歴史の中で事業が多角化した結果、事業ごとの企業価値の合計より全体の企業価値が小さくなる「コングロマリット・ディスカウント」が起きている可能性はあり、選択と集中を進めるのはセオリーに沿った判断と言える。

   ただ、会社全体の成長エンジンが定まらない中では将来の姿は描けず、社長を8年続けてもこうした状況では交代論が出ても不思議ではない。

   その中で、中国初とされる新型コロナウイルスの世界的な感染が発生した。津賀社長は中国事業も「成長の柱」に据えていただけに、中国で生産・消費の両面が一時凍結し、回復に月日を要する事態はパナソニックの業績にとって相当の逆風だ。影響は今期だけではなく、次の期にも及ぶと覚悟すべきだろう。

   津賀社長の在任が9年目に入ると、1977年から9年間社長を務めた山下俊彦氏(故人)と並び、創業者の松下幸之助氏(故人)ら創業家を除けば「最長」となる。63歳という年齢は、大手企業の社長としては若い方だ。成長軌道に本格復帰するための遺産(レガシー)を今度こそ残せるか、新型コロナウイルスの影響に翻弄されてしまうか。この1年は津賀社長にとって正念場となる。

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