預金は銀行で「厄介者」扱い
金融当局のこうした動きに警戒感を強めているのが銀行だ。マイナス金利政策の影響で、銀行の収益力は弱まっている。ボディブローのように効いてきた。
金利を「ゼロ」にすれば、会社はお金を借りやすくなるが、使い道のないお金は借りない。仮に売り上げを伸ばそうと設備投資をしたくても、先行きが不透明な状況では投資しにくい。そもそも、銀行は返してもらえそうにないお金は貸さない。
一方、業績のいい会社は「安全運転」経営なので借金はしないし、利益を貯め込んでいる。お金は潤沢にあるから、銀行の出番がない。さらには、マイナス金利で「利ザヤ」が薄いので、「薄利多売」の銀行はお金を貸しても収益を上げられないわけだ。
そんな銀行の「ツケ」を、預金者に押し付けようというのが「口座維持手数料」だ。預金者に口座維持手数料を求めるやり方は、欧米の銀行では珍しくなく、日本の銀行が「ガラパゴス」化しているとの指摘もある。
たしかに銀行では預金口座の維持、管理のために一定のコストがかかっている。どの銀行も一冊の通帳につき、毎年200円の印紙税を負担。そのほか、口座管理のシステムや人件費、またマネーロンダリング(資金洗浄)のチェックなどのコストもかさむため、口座の残高にかかわらず、一口座あたり年間数千円の維持費がかかるとされる。