花粉対策は衣服から――。本格的な花粉シーズンの到来を前に、最新技術を使って花粉から身を守るための製品が投入されている。
AOKI(横浜市)やナノ・ユニバース(東京都渋谷区)は、花粉対策をウリにしたコートを発売した。花粉のアレル物質を低減するというクローゼット型の家電も登場している。衣服に関する最新技術が今春の花粉対策に一役買いそうだ。
花粉がつきにくく、落としやすい生地
くしゃみや鼻水などで、仕事を妨げる原因ともなりかねない花粉症。日本の花粉症患者は、約2000万人とも言われているという。そうした環境下、AOKIは2020年2月に「花粉対策コート」を発売した。このコートは花粉がつきにくく、落としやすいポリエステル素材を同社製品としては初めて採用。細い糸を密度高く織り上げて、表面を平らでなめらかにし、衣服についた花粉を落ちやすくした。そのため屋内に入るときは、玄関で軽く払うだけで花粉を落とせるという。本体価格は1万4900円(税抜)。
同社は「締め切った屋内でもくしゃみが止まらないなどの症状が出るのは、コートなどについた花粉をそのまま屋内へ持ち込んでしまうことが原因。玄関などで、しっかり花粉を落としてから室内へ入ることが予防策の1つ」としている。
ナノ・ユニバースも今春、「花粉バリアコート」3種を投入した。撥水性のある素材を使っており、花粉が付着しても繊維の中に留まりにくいという。価格は8580円から(税込)。
スチームを均一に当て続ける新機能
スギ花粉は、殻に包まれた構造をしている。殻の表面にはアレル物質が付着しているほか、殻の内部にもアレル物質を含む。体内に侵入して、鼻や目などの粘膜に触れた花粉は膨張・破裂して殻が破れ、アレル物質を放出する。そのためスギ花粉症の予防には、花粉の表面と内部のアレル物質を低減させる必要がある。
そこでLGエレクトロニクス・ジャパン(東京都中央区)は、クローゼット型の家電「LG styler」(LGスタイラー)に、新たに「花粉ケアコース」を追加した。この機能は2月から、Wi-Fi搭載モデルにダウンロードできる。
LGスタイラーはスチームを循環させてニオイ成分の粒子を取り除いたり、1分間に最大180回振動するハンガーラックで衣類についたほこりなどをふるい落としたり、しわを伸ばしたりできる。実勢価格は14万円程度(3月上旬時点)。
新機能は、衣服にスチームを均一に当て続ける。花粉の表面に付着するアレル物質だけでなく、花粉内部のアレル物質も低減するとしている。所要時間は150分で、ダニやウイルス、雑菌などにも効果があるという。
同社は、一般的な薬剤などは、スギ花粉の殻の内部に含まれるアレル物質には高い効果が期待できなかったとし、
「外出中に衣類にたっぷり付着してしまった花粉のアレル物質も、庫内に衣類をかけてスイッチを押すだけで手軽にケアできる」
と自信を見せる。