もしそのまま分割されていたら
常磐線全線復旧の話題性は大きく、「ひたち」や普通列車で常磐線を乗り通したいという旅行者も少なくない。いわき以北は仙台まで大きな都市はなく実質ローカル線のようでもあるが、相馬(福島県相馬市)~亘理(宮城県亘理町)間では津波で甚大な被害を受けた複数の区間で海沿いの線路を山側に移設して高架化して津波災害に備えるなど、鉄道を維持する取り組みが続いていた。
もし従来の計画通り、特急もいわき~仙台間の運転となっていたら、この沿線と首都圏との心理的な距離はますます遠くなり、震災によって地域が切り捨てられたような印象をもたらしたかもしれない。常磐線と「ひたち」の完全復旧は交通が便利になる以上に、被災地域を維持する努力を可視化し、東京など大都市に住む人にも復興を「他人事」ではなく、同じ国の課題として受け止める効果も期待されているのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)