再稼働する最初のBWRは「女川2号機」か 時期左右する「地元との関係」

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   東日本大震災で被災した東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市、出力82.5万キロワット)の再稼働に、原子力規制委員会のOKが出た。

   同委は2020年2月26日、安全対策が新規制基準を満たしたとの審査書を正式に認め、東北電に許可証を交付した。東北電は安全対策工事を2020年度中に終える計画で、再稼働は2021年以降になるが、地元の同意が必要で、予断を許さない。

  • 女川原発(nekosuki600さん撮影、Wikimedia Commonsより)。再稼働の行方は
    女川原発(nekosuki600さん撮影、Wikimedia Commonsより)。再稼働の行方は
  • 女川原発(nekosuki600さん撮影、Wikimedia Commonsより)。再稼働の行方は

被災原発としては2基目の合格

   2013年にできた新規制基準に基づく審査合格は9原発16基目、東北電では初めて、2011年の東日本大震災で被災した原発では日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)に次いで2基目、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型炉(BWR)では3原発4基目になる。

   大震災の震源に最も近い女川原発は、想定していた最大の揺れ(基準地震動)580ガル(ガルは加速度の単位)を上回る推定636ガル相当の揺れに襲われ、建屋に多数のひび割れが入った。約13メートルの津波が押し寄せ、原子炉を冷やす設備の一部も浸水したが、海抜14.8メートルの高台にあったことから、福島第1のように冷却機能がすべて失われることはなかった。

   国の地震調査研究推進本部の想定では、女川原発がある宮城県沖は今後30年以内にマグニチュード(M)7級の地震が起きる確率が90%程度に達する。東北電は想定する地震の揺れを2倍近い1000ガルに引き上げて施設や設備の耐震性を高め、津波想定も23.1メートルに引き上げて全国の原発で最も高い海抜29メートルの防潮堤をつくるなどの対策をまとめ、2013年12月、規制委に再稼働を申請。規制委は2019年11月に事実上の合格証となる審査書案を了承。審査書案への意見公募で寄せられた979件の意見は地震や津波対策への不安の声が目立ったが、規制委は審査で妥当と判断したと説明している。

   東北電は今回の審査対象外の3号機を含め、安全対策に約3400億円を投じることになる見通しで、2号機の工事は2020年度中の完了を見込んでいる。

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