抵抗の背景には「独立心」の強さ
これに対し前田道路は、その生い立ちからも伺えるように、独立心が強い。前田建設のTOB発表直前に、前田建設保有株を自社株取得して資本関係を解消するとの提案を先手を打って発表。24日には、「将来においても事業シナジーが創出される見込みがない」「資本市場からの評価がより乏しい企業によって経営されることになる」などとしてTOB反対を明確にした。
前田建設は29日、過半取得によって「総合インフラサービス企業グループ」になることが双方の企業価値向上にとって望ましいとして、改めてTOBの目的・意義を理解してもらえるように、協議の機会を設けていくと発表した。
その前田建設の呼びかけへの返答が「巨額配当」だった。
前田道路はさらに、2月27日にはJXTGホールディングス(HD)傘下の道路舗装最大手のNIPPOと資本・業務提携の協議を始めると発表。アスファルト合材工場の共同運営などによるコスト削減を見込んでおり、株式の5%程度を持ち合う方向で検討するとしている。前田建設のTOBをけん制する狙いがあるとみられている。
実は、前田道路は初めから巨額配当を計画していたわけではない。TOBを仕掛けられると、別のパートナー、つまり友好的な買収者(ホワイトナイト)を探し、大手外資系ファンドや石油業界など幅広く接触、ファンドの力を借りて経営陣による買収(MBO)を行う案や、ある企業グループに株式の3割程度を持ってもらう案などが検討されたが、結局、まとまらなかった――という。
万策尽きて打ち出したのが巨額配当というわけだが、そこには二重の意味があると、関係者は指摘する。