船体の下から大量の空気を出して浮上させ、水陸の両方で運航できる「ホーバークラフト」が、早ければ14年ぶりに国内で復活することになりそうだ。ホーバーは大分空港(国東市)が現在の場所に移転した1971年から、大分市内と空港を結んできた。これが国内では唯一の路線だったが、2009年に廃止されていた。
現在は市内から空港へのアクセスはバスが主流で、別府湾を迂回するルートで約1時間かかる。インバウンド需要で大分空港の利用者が増え、アクセスが不便だという声が高まったこともあって、別府湾を縦断して時間短縮できるホーバーが「再登板」する見通しになった。
空港と大分市内の発着場を25分で結ぶ
ホーバークラフトは県などが出資する第三セクターが運営してきたが、リーマンショックの影響で利用者が減少し、三セクは経営破綻。18年度には大分空港に利用者数が16年ぶりに200万人を突破。広瀬勝貞知事が2020年3月4日の定例会見で
「やっぱり空港アクセスをもうちょっと便利にしきゃといけないな、という思いがあった」
として、ホーバークラフト復活の計画を明らかにした。
県はアクセス改善策として、高速船とホーバーを検討。高速船は所要時間が約40分、県の負担が115~200億円、整備期間が11~12年かかると試算。対してホーバーは、それぞれ約25分、75~85億円、3~4年と、比較的好条件だった。
かつて運航されていたホーバー4隻はすべて売却され、少なくとも3隻はすでに解体された。国内メーカーも製造を打ち切っている。そのため、県が国外から予備を含めて3隻を購入し、市内の発着場を整備する。発着場の場所は、09年まで利用されていた西新地地区の海沿いの設備を再整備するか、大分港の西大分地区に新たに整備する方向で検討している。いずれのケースでも500台規模の無料駐車場を整備する。発着場は大分駅から車で10~15分程度離れているため、アクセス用のバスも走らせる。