高校総体が直面する「資金不足」 五輪余波で分散開催、寄付募るも...まだ目標額の1割

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   新型コロナウイルスの感染拡大を受け、第92回選抜高校野球大会(2020年3月19日開幕・甲子園球場)が大きく揺れている。日本高校野球連盟は3月4日、大会運営委員会、臨時理事会を開いて開催可否について議論したが、結論は出なかった。今後、無観客開催を前提に準備を進め11日の臨時運営委員会で最終決定する。

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2月末日現在、基金総額は約7100万円

   高校球児にとって夏の選手権大会と並んで夢の舞台である春の選抜大会。新型コロナウイルスの感染拡大によって中止となる可能性を残しつつも、高野連は無観客開催を前提として開催へ向けて準備を進めていく方針を明かした。高野連の八田英二会長(70)は「夢の実現のために、大人として最大限できることを最後までやってやろう」と意気込みを語った。

   高校野球が選抜大会の開催を巡って揺れる中、同じく高校スポーツの頂点を決める全国高校総体(インターハイ)が深刻な資金不足に直面している。今夏の高校総体(8月10日開幕、一部競技は期間前後に開催)は当初、北関東4県(群馬、茨城、栃木、埼玉)で予定されていたが、東京五輪とスケジュールが重なり、選手、関係者らの宿泊先を確保できなかったため、19競技が会場を他府県に移して行われる。

   分散開催になったことで、開催経費を巡る問題が浮上した。これまで開催経費の7割ほどを開催自治体が負担していたが、2020大会は当初開催を予定していなかった自治体で開催されるため、高体連が開催費用を支援することになった。高体連は資金を確保するために「2020インターハイ特別基金」を作り、公式サイト上で寄付を募っている。2020年2月末日現在、基金総額は約7100万円まで集まったが、目標の7億円に遠く及ばない。

「大会が中止となることは100%ありません」

   特別基金は6月末日で締め切られ、残された時間は約4カ月。高体連関係者は「資金について確かに厳しい面はあります」とした上で、「目標の7億円というのは、あくまでも通常開催時に必要となる費用ですので、目標額に届かなければ大会が開催できないというわけでありません。抑えられる費用は極力抑えていきますし、大会が中止となることは100%ありません」と話した。

   また、高体連の特別基金とは別にクラウドファンディングを実施する競技もあり、資金確保に努めている。高体連関係者によると、高校総体の競技スタッフの多くは教員が占め、旅費宿泊費以外の報酬はほとんどなく、ボランティアに近いという。入場料については、大会の開催基準要項では入場料を徴収することは可能となっているが、高体連関係者は「過去に入場料を徴収したという記憶はありません」と話す。

   高校の教育の一環として行われる運動部の多くが高体連に加盟しており、一方で高野連に所属している高校の野球部はいわば「独立」した存在である。その人気は他競技を圧倒し、甲子園では春、夏ともにスタンドが多くのファンで埋め尽くされる。昨年の第91回大会の大会収支は、主催者である毎日新聞社と日本高野連によると、入場料が3億2828万1435円で、物品販売等と合わせると収入の合計は3億3222万9384円だった。

   高体連関係者は「インターハイは高校スポーツの頂点を争う大会です。競技数も多く、参加する生徒も相当数います。中止という選択肢はありませんし、あってはならないと思います」と話した。

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