新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動への影響が懸念されるなか、立憲民主党の枝野幸男代表は2020月3月5日の定例会見で、「経済的弱者に対して優先的、重点的に対応すべき」などと訴えた。
一方で、「どれくらいの(経済的)影響が出るかは、感染の拡大によって全然違ってくる」として、必要な経済対策の規模を定量的に示すことは困難だとの見方を示した。国民民主党の玉木雄一郎代表は、消費税や所得税の減税を念頭に置いた「10兆円規模の家計減税を中心とした大規模な経済対策」が必要だとしている。このことについては、「他党の党首がおっしゃったことにコメントする立場にはない」と述べるにとどめた。
「他党の党首がおっしゃったことにコメントする立場にはない」
玉木氏は3月4日の記者会見で、
「多分、東日本大震災以上の経済的影響があると思うし、場合によってはリーマンショック級の経済危機になる可能性があると思う。GDPが2~3%減少するぐらいの見通しを持って、前もって十分な対策を講じるべき」
だとして、
「10~15兆円規模の経済対策を打つ必要があると思うし、特に家計部門の減税、家計減税が必要」
などと述べ、この日行われた党首会談でも安倍晋三首相に伝えていた。記者はこういった経緯に言及した上で
「立憲としては、コロナウイルスの対策の一環としての消費減税をどのように考えるか」
と質問したが、枝野氏の答えは「他党の党首がおっしゃったことにコメントする立場にはない」。
「経済的な理由で命を絶つ方が出ないように」
この段階ではやり取りがかみ合わなかったが、枝野氏は
「どれくらいの影響が出るかは、感染の拡大によって全然違ってくるので、定量的に中々申し上げられないが、定性的に申し上げられるのは、経済的な弱者、あるいは生活弱者の皆さんから大きな影響を早く受ける。(中略)コロナウイルスによって亡くなる方も最小限にとどめなければならないが、間違ってもその影響で、経済的な理由で命を絶つ方が出ないようにという、この経済的弱者に対して優先的、重点的に対応すべきであると思っている」
などと基本的な考え方を説明。改めて消費減税に関する質問が出て、
「まず、このこと(経済的弱者への優先的な対策)をやるために財源をしっかり確保しなきゃいけない。そのことが最優先のことだと私は確信している」
と否定的な見方を示した。
消費税率「下がったからといって下がった分消費をするというものではない」
枝野氏は2月16日に開かれた党大会にあたる「立憲フェス」で、
「難しいのは、上げれば消費にマイナスの影響を与えるのは確かだが、下げたら消費にプラスの影響を与えるかというと、必ずしもそうではない。上がることは、みんなそのことで消費を控えるが、下がったからといって下がった分消費をするというものではない。これはかなりはっきりしている」
などと消費減税の効果を疑問視した。枝野氏は今回の会見で、消費税に対する考え方は立憲フェスの時点から変わらないと説明している。
消費税をめぐり、枝野氏が珍しく声が荒らげる場面もあった。消費税率の10%への引き上げは、2012年の民主党・野田政権で結ばれた、民主・自民・公明による「3党合意」で事実上決まったという経緯がある。このことを念頭に、ある記者は消費税増税について「菅さん、野田さん、そして枝野さんが中心になっている」と質問。枝野氏は
「申し訳ありませんけれども、中心ではない。私は閣僚の一人として責任の一端は私にもある。しかし中心と言われたら、本当に中心になって一生懸命やられた方に失礼です!一生懸命やられた方が沢山いるのを知っています。深夜まで会議をやられたり、一生懸命党の内部をまとめたり...。国会審議にあたって真剣にやられた方が沢山います。その方に失礼です!私を中心なんて」
などと強く反発した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)