患者の遺書も一部隠蔽し、「報国」を強調
新型肺炎で亡くなった人のほとんどは、家族に見送られることもなくすぐ荼毘された。その中には、存命中に献体を表明して病因の解明に役立った人もいた。
その一人、47歳の患者の肖賢友氏は2月12日、いよいよ最期と感じて遺書を書いた。
「我的遺体捐国家。我老婆呢?(遺体を国に献体する。かみさんは?)」
翌13日に肖氏は亡くなった。2月19日に『長江日報』は遺書の写真をつけて記事を出して、
「ぐにゃぐにゃの7文字の遺書、涙をさそう」
と書いた。しかし、取り上げたのは国に献体する趣旨の7文字だけで、死ぬ直前に家族を案じる気持ちは無視した。情報の隠蔽によって1400万人の武漢市民は多大な犠牲を払っているなかで、故意に市民の感情を無視して国に報ずる気持ちを強調する記事は全中国の反感を買っていた。