沖縄県と民間企業が出資して設立された財団法人「沖縄ITイノベーション戦略センター」(ISCO、那覇市)で公募理事長が任期途中で解職された問題が、さらに混迷を深めている。
解職を決めた理事会を監督する立場の評議員会では異論が噴出。県議会でもISCOの対応を問題視する声があがっている上、解職された前理事長はISCOの対応によっては訴訟も辞さない構えを崩していない。そんな中でISCOは改めて理事長を公募し、後任が内定。さまざまな火種を抱えたままでの新体制発足になりそうだ。
県が約40%、民間企業が約60%を出資する外郭団体
ISCOは県が約40%、民間企業が約60%を出資。日本経済新聞編集委員や慶大教授、調査会社のMM総研所長などを歴任した中島洋氏を初代理事長に迎えて18年5月に発足した。任期は20年6月まであったが、19年9月18日の臨時理事会で、県から出向している盛田光尚常務理事が解職提案の動議を出し、賛成多数で解職された。その後は盛田氏が暫定的に理事長を務めている。
ISCOは解職理由を一般には公表していない。ただ、県の嘉数登・商工労働部長は19年9月30日の県議会で、
「ISCO事務局に対し、任期途中での現理事長職の常勤化と報酬増額を一方的に要求したことを初めとした幾つかの事由によってISCO事務局に混乱が生じていた」
などと答弁。中島氏は
「業務量が当初想定より圧倒的に多くなったので、100日では到底無理、非常勤100日では無理だと(常勤化を)提案したのを、歪曲して『個人の報酬を増やさんがために』と誹謗中傷している」
と反論している。
この解任劇には異論もある。11月26日には、中島氏を解職した理事会を監督する立場の評議員会が開かれ、中島氏の解職取り下げを求める声が出た。20年2月27日に開かれた県議会の一般質問では、この評議員会の議事録が取り上げられ、かなり厳しい調子でISCOの対応を批判する声が出たこと明らかになった。