世界中に大きな影響を及ぼしているコロナウイルスの惨禍はeスポーツの世界にも及んでいる。
3月20日から開催される予定となっていた『ストリートファイターV』の世界ツアー戦「Capcom Pro Tour」では、「Brussels Challenge 2020」「Nocal Regionals 2020」「April Annihilation 2020」の三大会をツアーから除外し、参加してもポイントは獲得できないと発表した。開幕戦となる予定だった「Brussels Challenge 2020」は大会そのものも中止されることが決定している。
五輪の影響で振替開催にも困難
日本でも、3月1日に大阪でオープンした日本最大のゲーム/eスポーツ専用施設「REDEE」で開催される予定となっていた「ウェルプレイドフェスティバル Osaka Edition」が延期された。「モンスト プロツアー 2019-2020」のツアーファイナルなど多数の大会が無観客試合となっている。
多くの時間と労力、情熱を注ぎこんで準備を重ねてきた関係者の無念は察するに余りある。
未だ資金基盤がぜい弱なeスポーツの世界においては、一度の大会中止、無観客試合は大きな打撃となりかねない。今が年度末にあたる3月というのも大きな問題だ。この時期は多くの企業がイベント開催を予定しており、その収益をもって年度末を乗り切ろうと考えていた場合、破綻を余儀なくされる可能性さえある。
また今年に限っては夏にオリンピックが予定されているため、イベントを延期しようにも施設のスケジュールがすでに埋まっており、対応が極めて難しい状況となっている。一刻も早い公的な支援が必要だ。
加えて中国の物流、製造が停滞しているため、ゲームのハードやパソコン、関連商品の品不足がすでに発生しつつある。ことにこれから進学や就職のために新しくパソコンを買う人も多いと思われる上、企業が新入社員用に多数のPCを発注するタイミングでもあるため、コロナウイルスの影響が長期に及んだ場合、PCの購入に支障をきたす恐れもある。これは主にPCでプレイすることを想定しているeスポーツタイトルにとっては、思わぬ打撃となる可能性があるだろう。一日も早く現在の混乱した状況が収まることを願っている。
(eスポーツライター 早川清一朗)