日本相撲協会は2020年3月1日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大相撲春場所(8日初日=エディオンアリーナ大阪)の無観客開催を決定した。
NHKは通常通りに中継、場内アナウンスや物言いなども変わらずに行われるが、好角家として知られる漫画家・やくみつる氏にはどう映るのか? J-CASTニュースが取材した。
これ以上ない濃厚接触、観客の多くがお年寄り...
やく氏は開口一番、
「(無観客開催について)安堵(あんど)しましたね。力士同士は、これ以上ない濃厚接触があるわけですし、観客にはお年寄りも多い。何より、内閣総理大臣杯があるわけですから(中止できず)...。協会としても、無下にはできなかったんでしょう」
と、心境を語った。
実際、やく氏をして「私以上の好角家」という利奈子夫人は、早々に春場所のチケットを購入していたが、やむなくキャンセルしたそうだ。
3月2日、稽古後にマスクを外してNHKの取材に応じた横綱・白鵬は、
「こういう形で相撲をとるのは初めてですし...。まあ、想像もできないし。(でも)決まったことなので、あとはやるだけ」
とコメントし、同じく横綱・鶴竜は、
「触れ合って写真を撮ったり、サインを書いたりすることができないんでね。テレビの前で応援してくれていると思って、やっていくしかないんじゃないですか?」
と話した。2019年の同場所で10勝を挙げ、場所後に大関へ昇進した貴景勝は、
「応援していただいていることが昨年の大関獲りの力になった部分もあるし...。どんなふうになるのか想像もつかないですけど、それでも勝っていかないといけない」
と意気込む。
「柄杓を大量に買えば...」
また濃厚接触を防ぐため、2020年春場所では、取組前に柄杓(ひしゃく)にくんだ水をつける「力水」(十両以上の取組)も「口を付けないようにする」ことも協会から発表された。しかし、やく氏は、
「『エア力水』みたいになるんでしょうかね? 相撲は神社のお参りと一緒で神事なので、そこは大量に柄杓を購入して1回、1回変えるとか。(感染対策で神事が)形骸化していくことも問題ではないでしょうか」
と、一部に疑問も呈した。
毎年3月に行われる大阪場所は「荒れる春場所」という異名を持つ。最近では、2011年2月に発覚した「八百長問題」で実態解明を優先させるため場所開催を中止、65年ぶりの出来事となった。同年夏場所(5月)も興行ではなく「技量審査場所」として無料公開した経緯がある。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)