国立感染症研究所が「検査拡大を拒んでいる」情報を否定 メディアに向けた「お願い」も

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「積極的疫学調査」とは

   では、「積極的疫学調査」とは何か。1日発表文でも、法的な枠組みにも触れながら厚労省サイトを引用し、

「積極的疫学調査とは、感染症などの色々な病気について、発生した集団感染の全体像や病気の特徴などを調べることで、今後の感染拡大防止対策に用いることを目的として行われる調査」

と一般的な説明を紹介しているが、「医療機関において感染の疑いがある患者さんへの検査」との違いは分かりにくいかもしれない。参考になりそうなのは、同研究所の感染症疫学センターが「2月27日版」として公表している「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(暫定版)」だ。

   概略を紹介すると、(1)「患者(確定例)」、(2)「疑似症患者(感染症が疑われ、疑似症と診断された者)」、(3)「濃厚接触者」のうち、積極的疫学調査の対象は、基本的に(1)「患者(確定例)」と(3)「濃厚接触者」だとしている。

   こうした「一部の報道」に対する反論が「1日発表文」の大半を占めるが、最後の第5項目では「報道に携わる皆様へのお願い」にも言及している。「上記の件以外」でも最近の各種報道で、

「本所が『検査件数を抑えることで感染者数を少なく見せかけようとしている』、『実態を見えなくするために、検査拡大を拒んでいる』といった趣旨の、事実と異なる内容の記事が散見されます」

と指摘。さらに

「こうした報道は、緊急事態において、昼夜を問わず粉骨砕身で対応にあたっている本所の職員や関係者を不当に取り扱うのみならず、本所の役割について国民に誤解を与え、迅速な対応が求められる新型コロナウイルス感染症対策への悪影響を及ぼしています」

として、法律内容や同研究所の役割についての理解や、急速な感染拡大防止への協力を求めている。

   こうした「お願い」が出る背景には、PCR検査を望んでも受けさせてもらえない人が続出している実態がある。日本医師会も2月26日の会見で、「医師が検査が必要と判断したにもかかわらず、検査に結びつかなかった」といった「不適切と考えられる」事例の報告が寄せられているとして、調査を行うことを明らかにし、国にも是正を求める考えを示していた。

姉妹サイト