ホンダが2020年2月21日、「新型アコード」を日本で発売した。10代目となる新型は17年10月に北米で発売しており、日本市場は2年以上も後回しとなった。新型アコードは国内の月間販売目標が300台と少なく、もはや日本市場では売れ筋のクルマではなくなったからだ。
アコードは2019年に全世界で約50万台を販売しているが、近年は日本より海外市場がメインとなっている。実際にホンダは新型アコードを北米、中国、タイなどで生産している。日本で発売した今回の新型は国内生産ではなく、アコードとしては初めてタイからの輸入となる。
「10代目」もシリーズハイブリッド
アコードは1976年、シビックの上級車として初代ハッチバックが誕生。世界的にホンダを代表する高級セダンとなった。10代目となる新型は、9代目に続き、基本的にガソリンエンジンを発電に用い、モーターで駆動するハイブリッドカーだ。
これは日産の「ノートeパワー」などと同様、電気自動車(EV)に近いハイブリッドカーで、「シリーズハイブリッド」と呼ばれる。日産がエンジンの動力を直接タイヤに伝えず、常時モーターで走るのに対し、ホンダは高速道路など高速域ではエンジンの動力を直接タイヤに伝えて走る点が異なる。
高速域をモーターで連続走行すると発電にガソリンを多く消費し非効率となるため、ホンダは先代の9代目アコードから、高速域はモーターより効率の良いエンジンに切り替えて走るシステムを採用している。ホンダは先に発売した7代目「フィット」でも、このシステムを用いている。
日本市場におけるアコードの最大の課題は、76年の初代登場から約44年を経て、ユーザーが高齢化していることらしい。ホンダによると、「歴代アコードは、アコードからアコードに乗り換えるユーザーが多い」という。しかし、これは「若いお客様からアコードが目を向けられなくなっていることを意味する」(ホンダのアコード開発責任者・宮原哲也氏)というわけだ。
ユーザー年齢層、日米の違い
ホンダの調べによると、アコードのユーザーの年齢層は、日本では50歳台が4割近くで最も多く、30歳台が5%程度、40歳台が1割程度と低いのに比べ、北米は日本ほどの偏りが見られない。このため、開発責任者の宮原氏は「新型アコードはエモーショナルな魅力が最大の課題で、若い人にも選んでもらえるにはどうしたらよいか考えた」という。
具体的には「世界基準の走りと動感のある美しいスタイル、圧倒的な広さ」などを実現したという。ホンダは走りとスタイルの良さを両立するため、低重心・低慣性の新プラットフォームを開発。「一般にハイブリッドカーは燃費優先で、走りはよくないイメージだが、新型アコードはスポーティーなハンドリングと快適な乗り心地を実現した」(宮原氏)という。
日本市場でライバルとなるのは、トヨタカムリ、日産スカイライン、スバルレガシィB4、マツダ6だろう。スカイラインやレガシィも同一銘柄を乗り換えのユーザーが多く、若返りが課題になっている。従来のオーナーはもちろん、若年層の取り込みも狙ったという新型アコードが日本市場でどう評価されるか、気になるところだ。