「補償」打ち出せなかったスケジューリング欠如
政府の休校要請について、ニュースサイトのコメント欄やネット掲示板などでは、「いい判断だと思います」「それほど切羽詰まった状況になってしまった」「ここから、会社も対応し始め、波及していけば良い」などと評価する声はある。
一方で、要請はあまりに唐突だとして、「決断が遅すぎる。木曜日の夕方発表して次の月曜からなんて...」「低学年の子どもがいる親御さんどうするの...?」「場当たりの思い付きで、社会を混乱させている」といった疑問や批判も相次いでいる。
ネット上では、なぜ安倍首相自身が国民の前で説明しないのかと疑問も多かったが、安倍首相は、29日にも会見して、休校を決断した経緯や感染への対応方針について国民に説明する予定だと報じられた。
今回の急な休校要請について、事情に詳しい関係者は、その背景をこうみる。
「北海道の鈴木直道知事は、すべて自分が責任を取ると明言して、政治はこうじゃなきゃと称賛を浴びました。安倍さんは、対応が後手に回ったと批判されて焦っていた様子でしたから、指導力をアピールしようと知事のやり方をマネしたのではないかと思っています」
この関係者によると、これまで政府内だけで対応を話し合っていたため、検査で感染者数が増えると東京五輪や経済に影響してしまうとの懸念ばかりが大きかったという。
「専門家会議の意見を重く見ていれば、少なくとも10日早く休校要請などを決断できたのではないかと思います。また、省庁の担当者を呼んで、共働き家庭への支援策などを話し合っていれば、表明と同時に、休業補償などの対策も打ち出せたでしょう。感染の拡大を防ぐために、今回の休校要請は一定の評価に値するとは思いますが、スケジューリングの意識は欠けていたと言わざるをえません」
今後、安倍首相の党内での立場がどうなるかについては、こう言う。
「普通は、党内で議論になりますが、安倍さんが突然言い出したので、止めようがないです。ご自身の判断で、準備もなく、見切り発車されたのだと思いますね。しかし、自民党も評価を落としていますので、このままでは選挙ができないはずですよ。当面は、政局に発展せず、世論の火消しに追われることになると思います。安倍さんの会見も、騒ぎになったため、国民に対応策を示しておこうというものでしょう」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)