業績堅調、なのに大和ハウス工業の株価が下がった理由

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今後「反転」の可能性も

   大和ハウスは、樋口武男氏(81)が2001年に社長に就任して以降、拡大路線を突き進んだ。2019年6月に樋口氏がCEO(最高経営責任者)を退任し、代表権のない会長に就くまでの18年の間に、連結売上高は1兆円余りから4兆円余りへ約4倍に膨らんだ。戸建てで培った住宅ビジネスのノウハウを物流施設や商業施設のような大企業向けに生かし、受注を積み重ねた。

   ただ、急成長を遂げた陰でガナバンス(企業統治)がおろそかだったとの指摘もある。実際、過去1年の間に中国グループ会社の多額の不正流用や、国の基準を満たさない基礎や柱を使った賃貸アパートや戸建て住宅が約4000棟に上った問題が発覚。これを受けて11月に企業統治強化策を発表した直後の12月に工事監督の国家資格を不正に取得していたことが明らかになり、20年1月に外部調査委員会を設けるにいたっている。

   「相次ぐ不祥事で株価が下落した局面もあったが、11月のガバナンス体制再整備で対応に一区切りが付く見込み」(SMBC日興証券)と見られていただけに、12月発覚の不祥事は一定のインパクトがあった。樋口氏という「中興の祖」が退任し新体制に移るなか、こうした不祥事が重なることで株価にも下押し圧力となっていた。そうした背景のもと、全体として業績は堅調ながらも戸建ての不振をきっかけに株価が急落したという構図だ。

   ただ、2月に入って米国での戸建て住宅事業買収を発表するなど、なお事業拡大に余念がない。祖業の国内戸建て事業の2019年3月期のセグメント売上高は、商業施設の約半分、物流などの「事業施設」の4割弱にとどまる。時代に合わせて事業構造を組み替えつつ成長を遂げているとみる向きもあり、今後の材料によって株価が反転する可能性もありそうだ。

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