「人口の43%以上が栄養失調状態」「新型コロナに、さらに脆弱に」
北朝鮮の人権状況を調べる国連特別報告者のトマス・オヘア・キンタナ氏は2月26日、北朝鮮と国際社会に対して、感染拡大防止のために協力するように求める声明を発表した。声明では、入国管理を厳格化したり、国連機関に支援要請したりする、北朝鮮のこれまでの対応について「支持する」する一方で、
「北朝鮮の外部は(感染に)対応できるようにしておくべきだし、北朝鮮政府は医療専門家と人道活動の担当者に対して、完全かつ制限のないアクセスを認め、情報へのアクセスの制限を緩和すべきだ」
「これ以上孤立を深めることは答えではない」
などとして、北朝鮮側に門戸を開くように求めた。この背景にあるのが、北朝鮮の劣悪な衛生状態だ。声明では、この様子を次のように説明した。
「多くの北朝鮮国民、特に地方に住んでいる人は、保健、水、衛生に関する権利を完全には享受できていない。人口の43%以上が栄養失調状態で、教育や保健施設の半数には、十分な水供給と衛生施設がない。情報へのアクセスが限られていることもあって、新型コロナウイルスに対して、さらに脆弱になっている」
こういった状況を踏まえて、
「今回のコロナウイルスの危機で、北朝鮮国民の人権問題を政治的合意ができるまで先送りすることはできないということが改めて明らかにになった」
「北朝鮮の人権支援団体は、浄水器、衛生キット、井戸を掘るための資金といった命を救うための、無害とみられる供給の輸入に関する許可を得る必要がある」
として、早急に制裁を見直す必要性に言及している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)