「焦って検査対象者の数だけ増やすと...」
政府専門家会議メンバーで、この文書を発表した日本感染症学会理事長の舘田一博氏は26日昼、J-CASTニュースの取材に「現在の検査対象者の基準は妥当なのか」という質問にこう話す。
「できるだけ広く検査ができれば一番いいわけですが、新型コロナウイルスの検査で行われているのはPCRの中でも『リアルタイムPCR』という検査法で、『RNAウイルス』というウイルスを対象とする検査です。これは、すぐにどこでも検査ができるわけではありません。
キャパシティのことを考えると、限りがある中で検査の対象をどう集中していくかが重要です。今の段階では重症の方、入院を要する肺炎があり、ウイルス性肺炎を強く疑う場合を対象に検査を実施することが大事になります。
ただし、国立感染症研究所や地域衛生研究所、あるいは大学などと協力しながら、検査できるキャパシティを増やす方向で検討しています。余裕が出てくれば、『何か少し疑わしい』という軽症者を検査することもできるのですが、まだそこまで検査の対象を広げられないというのが現状です」
検査対象者を広げた場合に、何らかのデメリットが起こる可能性はあるか。舘田氏は次のように指摘する。
「たとえば『偽陽性』(本当はその疾患にかかっていないのに、検査で陽性反応が出ること)、『偽陰性』の結果が出てくる可能性があります。焦って検査対象者の数だけ増やすと、検査の精度管理が追いつかなくて、間違った検査結果が出てしまうおそれがあり、余計に混乱を招くことになりかねません。その意味では、正しく精度管理できる状況で検査できるようにしていくことが重要です」