企業がネット上で個人に仕事を発注するクラウドソーシングを手がける「ランサーズ」(東京都渋谷区)の社長が安倍晋三首相と会食したと首相動静で報じられ、ネット上で様々な憶測が書き込まれている。
ランサーズがネット工作をしているのではないか、などとする書き込み内容に対し、同社は「事実と異なる部分が多い」とサイト上で反論。J-CASTニュースは、会社側に具体的な反論内容を確認した。
「社長が安倍首相と会食」と報じられる
新型コロナウイルスの感染者が国内で次々に見つかり、政府の対応について、ネット上では疑問や批判の声も相次いでいる。
そんな中で、通信社などのニュースサイトでは2020年2月25日、安倍首相がランサーズ社長らと2時半ほど首相公邸で会食したとする記事が出た。
すると、ツイッターでは、ネット工作している会社ではないかと投稿され、1万件以上もリツイートされるほどの反響を呼んだ。ネット掲示板でも、関連スレッドがいくつも立って、様々な意見が書き込まれている。
ここ数日、「感染者はよく考えるとあまりいない」とするツイートが多数出回って話題になっていたこともあり、ランサーズとの関係を疑う声も一部で出て、今回の会食は、新型コロナを巡る話の内容だったのではと、一方的な推測も書き込まれている。
さらに、ネット掲示板では26日、ランサーズのサイトにある主要取引先から、「内閣府」の名前が消えていると指摘され、それも騒ぎに拍車をかけた。
ランサーズは2017年10月、同社サイト記載の取引先が政治系記事の案件の仕事を同社運営サイト上で暗に依頼していると一部ブログメディアが指摘していたとして、「そのような事実は一切ございません」とサイト上のお知らせで反論していた。案件とは、「特定の候補者または政党に対しての誹謗中傷および、世論誘導につながると判断できるお仕事依頼」を指す。
取引先の削除は、「誤解を招く恐れがあったため」
その一方、ランサーズは、このような政治系記事の案件については、サイト上の掲載を中断することも同時に明らかにしたうえで、「特定政党に関するお仕事依頼および差別助長につながるお仕事依頼への対応強化を実施」するとしていた。
今回の騒ぎについても、ランサーズは2月26日、「一部ソーシャルメディアでの発信について」のタイトルでお知らせを出し、ツイッターなどSNS上の一部投稿に「事実と異なる部分が多く含まれておりました」と反論した。
そして、3年前にサイト上でお知らせを出した後も、SNSなどで取引先について書き込みがあったとして、「誤解を招く恐れがあったために、2019年8月末に当社のコーポレートサイト記載の取引先から削除させていただいております」と説明した。
ランサーズの言う「取引先」とは、内閣府のことなのだろうか。
取引先について、ランサーズは、「2019年8月末時点で、取引状況に応じて更新しております」とJ-CASTニュースの2月26日の取材に答え、その名前を明らかにしなかった。
「事実と異なる部分」とは、感染者を巡るツイートとランサーズとの関係を疑った投稿などを指すかについては、次のように説明した。
「弊社では安心安全の取り組みとしてステルスマーケティングを禁止しております。不適切な依頼に関しては、依頼ガイドラインに沿って監視強化を行い、AI、および目視にて24時間の監視と不適切な依頼の削除、アカウント停止などの処置を行っております」
なお、安倍首相との会食の目的については、「複数の企業と共に意見交換する会にお声がけいただき、参加しました。その場での内容については、当社としてお答えする立場にありません」とコメントした。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)