貿易も大幅減避けられず
また、朱民氏は、2020年1月から2月までの中国の消費は、新型肺炎によって1.3兆元(同約21兆円)消えたと、2月22日の清華大学五道口金融学院での講演で語った。なかでも、昨年比で映画館の収入は92%減、観光レジャーは97%減、外食産業も激減している。
2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の際は、世界経済の成長率が2.9%で、その後成長は回復した。中国も9%から二けたの成長率を維持していた。しかし、今の世界経済は、成長率が下がっており、17年前のとはかなり違うと、朱氏は見る。
「世界貿易の増加率もそれまでの3.6%から昨年は1.1%にさがり、今年は少々増加すると見込まれているが、それでも2%ぐらいでしょう。中国の対外貿易の増加率は9.6%から昨年は3.4%に減少し、今年はさらに下がると思われます」
つまり、対外貿易によって経済を持ち上げていく力も弱いと朱民氏は見ている。
朱氏は「いままでの10倍の努力を払わないと経済は立て直せない」と厳しい見方をしている。
新型肺炎が流行っている間に、自宅でのテレワークの普及、ネットによる医療や教育の普及、飲食業ではデリバリーの拡大などから見てサービス業の労働生産性が一挙に上がっていく可能性はあるが、モノづくりの現場が新型コロナ肺炎の影響が収まってから、これまで以上の生産体制に移ることができるかが問われる。
(在北京ジャーナリスト 陳言)